:::排出系列:::
俺が明日死んだって、地球は回っているんだから。
冷たくなった珈琲を喉へ流し込む 始発電車 虚空に響く鳴き声がわたしの何かに触れている 連なる家家も田園風景も 遠くに見える山も真っ青な青空ですら わたしに何の感慨も抱かせはしないまま 事実は時に残酷に眼下にはっきり突きつけられる 古い駅の朽ちかけた柱 人をごみのように詰め込んで終点まで走り抜ける電車 靄のかかった情景に無感覚だ 電線の黒に親しみを感じる そこに吊り下げられ 流れる電流を感じ 窒息し息絶えるのはどんな気持ちがするのだろう 醜い烏は見えず窮屈そうな人が 不審を以てわたしを見ている クリーニング屋の看板に視線を移し すべての雑音からの保身のために ヘッドフォンを耳に当てる 綺麗な声の男の歌声 差し込む陽の光に酸素を奪われながら それでもわたしは何かを掴んだ それが 死人のように冷たい 誰かの手のひらだったのか フェイクファーのように温かな 誰かの足首だったのかも判らぬままに
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