ふうこの日記
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中学、高校の時。私は彼をひたすら愛していた。 彼の小難しい文学本もすべて読んだ。 「暗室」「砂の上の植物群」「夕暮れまで」・・・
本から発せられる淫靡で不健全な雰囲気を愛した。 私にとって最初に性を意識した相手だった彼。 その頃、私は男性と付き合ったことなんぞなかったが 「抱かれたい」と強く強く思った・・・。 彼に抱かれることが出来るのなら娼婦になってもいい。 彼が愛した娼婦に・・・。
彼に逢いたい・・そのためにはどうすればいいのか。 でも、本をすべて読破していた私にはわかっていたんだ。 私みたいな女は彼のタイプではないという事を。
宮城まりこ。
逢いに行った。 ねむの木の展覧会に来ていた彼女に。 2メートル離れた所から静かに見つめた。 「彼の愛した女・・・」 ちっとも美しくなかった。嫉妬心からそう見えたのかもしれない。
受験で上京した時、ホテルの電話帳で彼の電話番号を調べた。 世田谷区上野毛。彼の電話番号は普通に載ってた。 電話番号をノートの切れ端に書き写した、18歳の冬。
彼が亡くなって今年で10年。 早いねぇ・・・。
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