鼻くそ駄文日記
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2003年08月24日(日) 夏バテで休みたいよ略して夏休み企画9

小説、なのかなあ?

   『反省文』



 小林先生へ、自分はとても反省しています。
 ただ、これまでの自分は英語になじめませんでした。授業のはじめに日直が「スタンダップ」と号令をかけるのも、「グットモーニング、ミスコバヤシ」と立ち上がってクラス全員で声をそろえて言うのも、恥ずかしくてしようがなくてすごくいやでした。いつも口をぱくぱくさせて声を出していませんでした。
 授業のはじめからこのような不真面目な気持ちがあったので、英語の授業は一度も真面目に受けたことがありません。そんな不真面目な自分に先生の態度に反発することなど、許されないことだと思います。
 先生が「この現在完了の have been in はどういう意味か、ミスターヒロアキ、わかる?」と自分に訊かれたとき、自分はわからなくても一生懸命考えるべきでした。だけど、自分は不真面目に「わかりません」と答えただけでした。だから、先生が自分に向かって「まあ、あなたじゃしようがないわね」とおっしゃられた気持ちもわかります。不真面目な自分が悪いのです。
 だけど、自分はあろうことかその先生に反発してしまいました。上靴を飛ばす勢いで机を蹴飛ばし、「それ、どういう意味なんでしょうか?」と厳しい口調で先生に詰め寄ってしまいました。他の生徒もはやし立て、先生は相当傷つかれたと思います。本当に申し訳ございません。
 しかし、先生は勇敢にも誠意を持って「いや、別にそんな深い意味はないんだけどね」と自分たちの愚かな質問に答えてくださりました。本来なら自分はここで素直に先生に謝罪するべきでした。
 なのに自分は「深い意味がなくても自分は傷つきました。謝ってください」と先生に謝罪を求めてしまうのです。あべこべな話で、いま思い出すだけでも大変恥ずかしくなります。
 そのうえ、学級委員の安田真子が「弘晃くんがかわいそうです。あやまってください」と言ってしまい、クラスは収拾がつかなくなるぐらいの大騒ぎになりました。このときの先生のお気持ちを察すると自分は苦しいです。
 先生は何も悪いことはされていませんが、クラスを落ち着かせるためにあやまってくださいました。教える側の立場を捨て、自分たちに「ソーリー」とあやまってくださいました。
 だけど、調子に乗ってしまった愚かな自分は、その先生のお優しいお心配りに気づけませんでした。「ソーリー、とはどういうことでしょうか? ちゃんと自分の言葉で、普段使っている言葉であやまってください」と自分は、先生が英語の授業だから英語であやまってくださったのに、そこにつけこんで言いがかりをつけてしまうのです。自分でも行動が幼すぎて開いた口がふさがりません。
 だから先生が「しつこいわね、あやまったじゃないの」と自分に注意された気持ちはよくわかります。どうしてこのとき自分は先生のお気持ちに気づけなかったのか、不思議なくらいです。
 それからは自分は「えらそうに、いい気になるんじゃねえぞ」と言って、お綺麗な先生のお顔を拳で殴ってしまいました。先生は教壇に体操座りのような姿勢で座り込まれました。あそこまで親切に応対したのに、その先生の意図をまるで理解しないで、むしろ何かにつけては揚げ足を取って反発する愚かな自分やクラスの生徒の顔をご覧になりたくはなかったのでしょう。
 だけど、自分はそれをいいことに、先生の真っ白なブラウスに黒板消しを投げつけました。先生のブラウスはチョークの粉で七色になりました。そして、そのチョークの粉がブラウスに残るように、湿り気のある雑巾を先生の背中にかけました。
 そこで担任の古本先生が教室にみえられました。
 以上が自分が小林先生にしてしまった恥ずかしいことです。
 小林先生へ、自分はとても反省しています。わかってください。


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