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2001年08月14日(火) |
ミスタームーンライト~月光旅人~4 |
結城は鹿島の家へ行き、彼の妹を人質に、ナイフをむける。妹を守るという気持ちがあれば、何故、都のたくらみに荷担する?!とばかりに。「違うんだ、ナイフを買ったお前が心配で、かすみちゃん自身が憑依したんだ。信じてくれ!」 「もし俺が妹を殺したら、お前は俺が許せるか?」まだ信じない結城。「違う、あれは事故だった。殺人じゃない」。結城は「妹を守る」のは、子供の頃自分のせいで1歳未満のかすみに、12針縫うけがをさせた時、決意した事だ。と、一種、トラウマのような話を鹿島に話す。そして、逃走する。妹を守るため、ナイフで傷を負ったが、そのまま結城を追う、鹿島。
病院で、間一髪のところ、鹿島が石岡に叫ぶ「僕を殴ってください!」。失神した鹿島にかすみが憑依する。色々な思い出話を語っても、「誰かに聞いたんだろう」と信じない兄。しかし、盲腸で入院した時、欲しかったディスクマンをもらい、それで聴いていた曲が兄の好きだったビートルズの「ミスタ-ムーンライト」だった。それをきっかけに、「20歳まで守ってくれたから、これからは自分の人生を生きて欲しい。幸せだった。」魂の抜け落ちたようになる、結城。初めて、妹だったんだと、信じる。
オチがあって、実は、こういう時に限って石岡の殴りが、弱く、彼は鹿島でしかいられなかった。「ミスタームーンライト」の話は、電車でかすみが葉月に、葉月が鹿島にしたものだった。鹿島は必死に考えた。「かすみちゃんならどういうだろう。僕はかすみちゃんの力になれただろうか」 その答えは・・・ラストシーン、39度の熱がある鹿島が図書館に来る。3通目の手紙が届いたのだ。「兄を止めるどころか火をつけてしまった。」「本気であなたが兄を助けようとしてくれたからです。」「あなたに頼んでよかった。これで安心して旅立つ事が出来ます。」「兄を許してあげてください。兄はとても強いけれど、兄は、多分とても寂しかったのです。さようなら」。 そしてまた、鹿島のPCを勝手に興味本位で開けた、バイトが、スゴイ物を見つける。鹿島の小説かと思ったら「お兄さんへ」というかすみの何十頁にもわたる、幼稚園から二十歳までの思い出。それを夜中に書いていたのだ。(憑依タイム以外にもそのため、鹿島はひどい寝不足になったのだった。)ちなみに2日で鹿島の労働時間は述べ12分。
かすみだけ、役者名を書いてないのにはわけがある。観客がそうだったの?と気づいた時には、舞台上にはいない。作品中、図書館のシーンで、訪れている人たちの中に実はかすみはいた。 それは、ふと館長(西川)が写真を持っていた刑事に見せてもらってわかる。バイトが叫ぶ(霊感があるらしい)。そこにいるお客さんに聞く 「あなた、この子と、いつもいっしょに来て、今も、ここに座ってたよね。さっき先に帰ったよね?」客を含めみんなが、誰もいなかったよ、と答える。 ・・・きっと、それは・・・鹿島が「かすみちゃん、さようなら!!」叫ぶ。(叫んで、咳こむから、さまになるんだか、ならないんだか)そして、「お兄さんへ」のプリントアウトにかかる。それを、警察にいる結城に、手紙とともに届けようというのだ。 ガラスの向こうの満月の下。かすみの影が浮かび上がる。
実は、私は、こういう物語に出会うといつも考えてしまう事がある。 謝らないと気がすみませんと、よく言うが、謝れば、気が楽になる。一生、消えなくても、謝れれば、少しは救われる。でも、許した方がどうか?「謝りにも来ないヤツは最低だ」「謝りにきても、心がこもってないヤツはもっと最低だ」そう思う。心の底から謝りたいと願う相手を受け入れれば、被害者も少しは救われるのだろうか?それとも、帰ってこない人のことは、ただ、自分がどう整理をつけるか(ちょっと嫌な言い方だね、思いつかなくて)、思い出に変えていくか。それしかないのだろうか?謝られても、許しても、その人はもう、帰らない。
「ミスタームーンライト」の場合。兄が許せなかったのは、まず、自分自身が妹を守れなかった事。彼女の将来が奪われた事。そして、その事故の原因は、友人の居眠り運転で、ハンドルをキリさえしなければ、助手席の妹は助かったはず。彼が殺したも同然だということ。しかも、その、卑怯者と思う彼を、実は妹は愛していて、その気持ちを知りながら、彼は大切な妹の気持ちを受け入れなかった事。
妹は、霊になり、兄が彼を殺そうと思っていることに気づく。猜疑心にとらわれた兄は、信じてくれなかったけど、彼女が兄に伝えたかった事は次のような事。お兄ちゃんは、充分守ってくれたよ、今まで。だから、これからは自分のことを考えていってほしい。彼の居眠りが原因だけど、実は、最終的にハンドルをきったのは、彼に死んで欲しくなかった自分なんだ。彼はハンドルをきって自分だけ助かろうとしたわけじゃない。そして、命をかけて守りたかったほど愛していた彼が、気持ちを知りながら受け入れてもらえなかったとしても、それは、恋愛の事、仕方のないことだと、わかっている。だから、彼を憎まないで。お兄ちゃんには罪を犯して欲しくない。
妹は、兄にむけて鹿島のPCを使って、20年分の思い出を書き連ねた。どれだけ、幸せだったかを。
もし、死んでいった人の気持ち、それまでの気持ちも、死んでからの気持ちもわかれば、特にそれが、「もういいのよ、お兄ちゃん、残念だけど、仕方のないこと。生きている間、私はとても幸せだった」というものだったら、はじめて、全てを受け入れる事ができるだろうか?
満月の夜。満月は死者の魂が一杯になって、ふくらんでいるのだという。天界に魂を送り届けた月は、また小さくなり、段々と三日月型の船となり、死者の魂をそっと集め、天界に運ぶ準備を始めるという。魂は光のもとへ帰るという。万葉の昔には、そのように考えられていたらしい。 今や月は、太陽の光を反射しているだけだと知っているが、そうやって、誰かの心を反射する事で、その人が亡くなっても、生き続ける。語り継がれる事によって、生きるのかもしれない。
私には祖母がいる。彼女が死んだら、って、考えただけで涙が出てくる。彼女は、突然、時々、私が生まれる前に亡くなった、血族の話をする。私はそれを、できれば覚えていて、また、誰かに語りたい。そうすることで、その人は、まだ私たちの心の中で、生きている、そんな気がするからだ。昔の事なので、悲しかった話が多いが、できれば祖母に、楽しかった話を思い出してもらって、できるだけたくさん聞きたいと考えている。そして、機会をつくり、語っていきたいと。
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