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2001年09月23日(日) |
新派なども見てみる。「滝の白糸」〜あらすじ |
「滝の白糸」は、明治27年に泉鏡花が発表した「義血侠血」を翌年川上音二郎が初演した際、主人公の太夫の名前を外題にして演じ、そのまま「滝の白糸」として上演される。
これは、旅芸人、(水芸の太夫)滝の白糸が、元来の気風のよさと、粋狂で、速いんなら飛ばしとくれ、という白糸が、2頭立ての馬車の馬丁(べっとう)に、「約束を守り通してちょうだいな」と言ったばかりに、腕に覚えのある馬丁が裸馬に白糸を横抱きにして、石動の茶屋に届けた。これが最初の出逢いである。といっても、雲を霞と走るほどの速さに彼女は失神してしまって、あとから彼の名前だけ聞くという出逢いである。 そうして数日後、卯辰橋(うだつばし)の河原で夕涼みしている白糸が、小船に寝ている一人の男を見つける。それは、この間の馬丁。白糸には忘れられない夢の時であったが、彼は覚えていない。「抱いた女を忘れるなんて、情なしだねぇ。」そんな風に始まったいきな会話の中、彼は苦学生だと知る。名を村越欣弥という。向学心を捨てきれぬ欣弥に、白糸は粋狂で貢がせてくださいと申し出る。彼の母親の面倒もみるから、勉強なら東京へおいでなさい、と。喉から手が出る申し出だが「縁もゆかりもない人の・・・」と、断る欣に、「縁?縁というのも初めは他人。ここでうんと言ってさえくれりゃ、つまりはそれが縁になろうじゃありませんか?」決心する欣。「ありがた過ぎる。恩を受ける私のあなたに果たすべき義務を、伺いましょう」それに、白糸はこう答える。「他人らしくなく。生涯、親類のようにして暮らしてくださいな。」すぐに通りかかった人力で、そのまま欣弥は東京へ、これが2度目の出逢いである。
3年が経つ。その間、欣弥からの手紙には、勉強に精進している事と、母を案じる事が書かれてくる。金の無心は一切ない。白糸は白糸で、彼に「女房にしてください」などとは一切言わず、書物など必要だからと、景気の悪くなった時も、座元に借金しながら、欣弥に送金し続ける。これが最後の送金になるという時、同じ座元にいる南京出刃打ちの寅が、借金に行く白糸の話をききつけ待ち伏せして金を奪う。白糸は死ぬしかないと思うが、それじゃあ欣さんが困ると、呆然とたたずむ。そうするうちに金持ちの家の裏木戸から中へ入れてしまう。水を飲んでいるところを「泥棒」と戒められ、騒がれるのを押さえるうちにさっき、証拠にと拾った出刃で刺してしまう。出て来た内君を脅し、100円だけと、盗みを働くが、女と知れ、また騒がれ、内君まで刺し殺してしまう。
その場に残された出刃と、白糸が寅と争った時ちぎれた寅の袖口が証拠となり、寅とその一味が逮捕される。白糸から100円は盗んだが、殺人なんてしていない。そういう一方、白糸は、100円は盗られちゃいない。翌朝、東京に送金した記録も持っているといって譲らない。裁判になる。送金先(欣さん)の名前を伏す事を条件に証人に出ることにする。しかし、運命の皮肉というか、それが運命というか、白糸の送金で無事、検事になった村越欣弥は、この金沢裁判所に検事代理として公務につく。予審などをすませた公判で、白糸と欣弥は3たび出会う。
生涯、たった3度、3度だけしか逢わなかった二人。最初は真実、盗まれておりません。と、言い通した白糸も。「本職村越欣弥は、偽りをもって、この世の最も憎むべきとする。」以下、贔屓があったとして卑怯未練を喜ぶか?自分が贔屓なら、愛想をつかす。二代目として、罪なき者を陥れれば、母に、その名に対し、どうなる?自分の母も立身より、心が清浄無汚ならんと祈っている。自分に妻があれば同様の祈りをするだろう。自分は3年ぶりに帰ってきて恩人と明後日は手を携えて将来を語ろうとしている。もしその手が血塗られていようとも滅罪の法がある、しかし、恩人の胸や心が偽りと卑怯とで汚されていたら・・・しかし、わが恩人は断じてそんな女ではない。と、壇上から満身をこめて語りかける。白糸は、「金を取られました」と自供する。
その後、重罪についても白状し、村越欣弥は、私情をはさむことなく、大恩を重ねたる人を殺人犯として起訴する。裁判長は死刑を宣告。一生他人らしくなく、と約束した欣弥は、もう一度面会する事もなく、その夜、自宅で自害する。
原作は、ここで終わっている。新派では、死刑まで収監されている白糸を、欣弥の母が訪ね恩義を返せなかったことを詫びる。白糸は、大切の門出を汚したことを詫びる。母は、無慈悲な刑の申し渡しの時ですら、二人だけ別天地のようだった、二人は似合いの夫婦ですよ、と、優しく白糸に言う。そして、欣弥も待っているから、と自害の事を告げる。「草葉の陰からご出世を見守る楽しみがなくなった、しかもお母様を一人残すなんて・・・」そう言う白糸に「達者でいるから案じてくれるなと、伝えて欲しい」と、欣弥が大切にしていた書物を彼女に託す。「私はもう一度、お目にかかれますか?」空に問い掛ける白糸、外は雪
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