朝。自然と7時前には目が覚めた。今回泊まった宿はスイートルームタイプなので、ベッドルームとは別にリビングがある。そんなわけでシャワーを浴びて8時くらいまでリビングのソファーで本を読みながらごろごろし、それに飽きたら全く起きてくる気配のない弟を叩き起して雙連の朝市に向かった。
ここはほぼ地元民御用達といった風情で、肉や野菜や魚などを売る店が軒を並べる。食べ物を提供しているところはなかったが、これはこれで面白い。一通り見て回った後、近くの「天祥蚵仔麺線」という店で麺を食べた。くたくたに煮た麺に、具は牡蛎と肉団子とモツ。汁はエビのスープが利いていて、これが香菜の風味とよく合いとても旨い。地元の方もたくさんいて、もちろん誰も「麺固め」などと無粋なことをいう輩はいない。
大が50元、小が40元で、機会があればもっといろいろと食べたいと思っていたので弟と二人とも「小」にしたのだが、これでも結構ボリュームがあった。豆板醤のようなものと胡椒が置いてあり、後半はちょっと味変してみようと思い豆板醤を投入したが、辛さだけではなくさらにうま味も加わりこれまた旨かった。
さらにぶらぶら歩く。弟は「潤餅」の屋台を見つけて「これも旨そう! ねえ買っても良い?」と尋ねた。これは要は台湾風のクレープというか、小麦粉を薄く伸ばして皮を焼き、そこにいろいろな具を乗せて巻いて食べるもののようだ。
おう注文してみ、と言うと、にっこり笑って得意(?)の英語で注文を始めた。のだが、これが全く通じない。弟の英語が下手糞なのではなく、英語自体がダメのようで、English, no. と言ったきり、台湾語で「誰か! 英語わかる人!」といった勢いで人を呼びに行こうとしている。なんだかめんどくさいことになりそうだったので、なんとか中国語を思い出し「要一个」と注文した。
無事買うことができ、焼きたてを頬張る弟。一口もらったが野菜がたっぷりでナッツも入っており、味付けは意外に甘めであった。これもまた旨かった。
食欲旺盛な弟はさらにもち米の炊き込みご飯を購入。さすがに途中で腹いっぱいになったようで残りはありがたく頂いたが、台湾風ちまきの中身みたいなものでこれもまた旨かった。何食っても旨いぞ台湾。
朝市を堪能した後は、弟が行きたいと言っていた書店へ。本だけではなく雑貨もあったので結構楽しんだ。この店で面白かったのは、雑貨も「メイド・イン・台湾」のものが多かったこと。どこにでもあるような高級ブランドあるいは外国製の雑貨を置いているような店とは一線を画している。弟も欲しかった本が買えたようで大満足している。
その後、きわめてベタだが歩いて101へ。この時点でちょうど12時くらいになっており、飲食店街は混雑を極めていた。
展望台で時間をつぶそうかと思ったが、こちらも凄い混雑で、ありえないくらいの行列。てめえも弟もすでに経験済みなので展望台に行くのは断念した。ランチを予定していた「鼎泰豐」も凄い行列。まあ時間が時間だし仕方がないわな。
「鼎泰豐」はそもそも本店に行くつもりだったのだが、鼎泰豐経験者からは「本店はやめておけ、101店が良い」とのアドバイスを受けたのでこちらに変更した。
なんでも本店の方は行列のオペレーションがあまりよくないこと、101店の方が箱も大きいこと、そして実際に両方で食べてみて、あまり味に変化を感じなかったからとの理由だった。「行くのなら本店」をモットーにしているてめえとしてはそれでも本店に行こうかと思ったが、鼎泰豐経験者が口をそろえて同じことを言うので今回は言うことを聞いてみることにした。
まあ朝から腹いっぱいいろんなものも食べたし、全く腹も減っていなかったのでもう少しぶらぶらすることにした。
というわけで、今回てめえがぜひ行きたかったほぼ唯一の場所である「四四南村」に行くことにした。101から徒歩で5分くらいの場所で、元々は国民党軍の軍人が住んでいた村だったところを保存してあるのだ。その一角は雑貨屋+カフェになっており、べーグルが旨いらしい。
今回もGoogle mapで移動する。これほんまに便利で、迷うことなく到着できた。
さてこの四四南村はなかなか風情のある一角が残されており、大都会の真ん中にこのような戦後そのままの古い村が突然出現する様はまるでタイムスリップしたような気分にさえなる。
この一角にある雑貨屋+カフェの「好、丘」に入る。手前半分が雑貨スペースになっており、ここも「メイド・イン・台湾」の雑貨しか置いていない。この店は、こだわってあえてそうしているようだ。
台湾の調味料など大変面白そうなものがあったので、いろいろと買いこんだ。結論から言うと、今回の旅行で買い物したのはほぼここだけになってしまった。
カフェはまた今度の機会ということにして、101に戻る。鼎泰豐に向かうとさすがにさっきよりも入店待ちの人数は減っているが、それでも凄い人。店先には「45分待ち」と表示されている。
さっき通りかかったときにシステムを確認しておけばよかったが、どうやら整理券を発行しているようだ。順番が来ると電光掲示板に番号が示される。げげっ、これなら四四南村に行く前に整理券だけとっておけばよかった。
うーむ、これならほかの店にしようか。てめえはそう言って、第二候補に考えていた「欣葉」に向かった。101の85階に位置するこのレストランは台湾料理の名店だそうだ。
しかし、店を選ぶ客観的な評価というのはとても難しいと思う。そういう意味では「ミシュランガイド」は一つの基準を示してくれているので、ある意味便利ではあるなと思う。
というわけで85階に向かおうとしたが、何と専用のエレベーターがあり、入口近くには受付があって予約のある人しか乗れないらしい。えー予約なんてしてねえよ、と思いつつ、予約がなければ入店できないのか? と尋ねた。いえ、少々お待ちいただければ…との回答だったので、同じ待つのなら初志を貫徹しようと踵を返した。
戻ると待ち時間が40分に減っていた。さっそく整理券をもらう。整理券と同時に「注文票」のようなものを渡された。予めここに注文する品を書き込むらしい。これはこの店独特の方法ではなく、台湾ではほかの店も同じシステムをとっているところが多かった。
さっそく弟と二人でメニューとにらめっこ。看板メニューの「小籠包」はもちろん注文。あと「トリュフ小籠包」にも興味があり注文。それに加えて「小菜(台湾おつまみ)」「鶏肉の紹興酒漬け」「紅油炒手(ピリ辛ワンタン)」「炒飯」を注文。もちろん台湾ビールも。昼から飲めるのは旅行の醍醐味ですね。
そうこうしている間にあっという間に順番が来た。どうやら整理券だけゲットしてほかの店に流れた人もいたみたいで、結構すぐに席に案内していただいた。
「小菜」
春雨ともやしと昆布などを和えたもの。つまみとしては良かった。
「鶏肉の紹興酒漬け」
てめえチョイスに見えるだろうが実は弟チョイス。もちろん酒の肴としてはばっちり。
「小籠包」
さて、今回の本命メニュー。さっそくそのままで頂いたが、正直なところ「あれ? こんなもん?」。それなりにうまかったが、驚きの旨さではなかった。これは魏飯夷堂とあまり変わりない印象。期待が大きすぎた?
「トリュフ小籠包」
これも同じ。5個入りを始め注文したのだが、「二人なので2個でも可能ですよ」といわれ、その通りにした。それでよかったと思う。
「紅油炒手」
結論から言うとこれが一番旨かった。ワンタンの皮もぷりっとしており何よりタレが秀逸。弟は「このタレだけでご飯が食べたい!」と、こっそり後で出てきた炒飯にかけて食べていた。またこれが旨かった。弟は、この皿を最後まで下げられないように守ってましたよ。
「炒飯」
これも旨かった。上記のタレとまた良く合った。
ビールも2本頂き、大満足。サービスも素晴らしかった。今度はぜひ本店を攻めようかな。
食事を終えて、弟の希望で「九份」へ向かった。行きはバスで行ったが、またこれがすごい人だったのと、九份に向かう客のほとんどが日本人だったのにうんざり。
着いてからまたすごい人だかり。しかもほとんど日本人で、人ごみの大嫌いなてめえは人に酔いました。正直もうごちそうさまです。街は悪くなかったのだけどね。今度行くときは宿泊して、人気のない夜と朝を楽しむのが良いだろうと思った。
帰りの台北直通バスはこれまたすげえ行列だったので、近くの瑞芳駅までバスに乗り、そこから鉄道に乗って台北に帰ることにした。
これがまたのんびりとした鉄道で、各駅停車の上に一つ一つの駅での停車時間が長い。正直とんでもない時間がかかってしまった。
台北に戻ったらもうぐったり。復路だけで2時間くらいかかったのでは。そんなわけで目当てのレストランももう閉まりそうな時間になっていたので、とにかく急いだ。
目指したのは「長白小館」。酸菜白肉火鍋で有名な店で、酸味の効いた白菜の鍋。デフォルトで豚肉が1人前付いており、さらに豚・牛・羊の3種から2種類の肉をチョイスできる。もちろん豚二つみたいな注文もできるようだ。
正直、外国で頂く牛肉は外れが多いので、ためらわずに豚と羊を選んだ。
まずは鍋に火の通っていない豚バラ肉が乗った状態で、鍋が運ばれてきた。火が通ると食べごろで、自分で作ったタレにつけていただく。
タレは基本は芝麻醤に豆腐乳、韮泥(おろしにんにく)、韮菜花醤(ペーストにした韮)だが、てめえはここにさらに自家製と思われるラー油とおろしにんにく、そして欠かせない香菜を山盛りっ!
さてこれが結構旨かった。肉と白菜などほかの具を順に頂いたが、結構な量で。しかも高野豆腐のようなものや椎茸やカニなど山盛り。カニは正直いらんかったかな。
肉と白菜だけでも結構な量があったので、男二人で腹いっぱい頂きました。もちろんビールと共に。笑 肉は豚も羊も旨かった。
弟と宿に戻る。帰りに飲み物を買おうと宿近くのセブンイレブンに寄った。「歓迎光臨!」と店員さんの声が響く。なんかこの辺も日本的だなあと思う。
白酒と台湾ビール、そして焼いた腸詰と、茶葉蛋(茶葉ゆで卵:お茶と八角などの香辛料で茹でた茹で卵)をつまみとして思わず購入。
レジで支払いを済ませ、店を出ると、何と店員さんが追いかけてくる。なんだ? お金は払ったけど、と思ったのは全くの杞憂で、なんとてめえはレジでぴったりお金を払ったつもりが、1元と5元を間違えて払っていたために4元のお釣りが生じていた、と店員さん。これにはこちらの方が恐縮してしまった。正直、4元くらいいいのにと思ったし、4元のお釣りのために外まで客を追いかける国民性は日本と台湾くらいなものじゃないのかと思った夜だった。
ちなみに茶葉蛋はとても旨かった。弟も「旨い! 旨い!」と食べていた。腸詰はやっぱりコンビニクオリティーでいまいちだったぜ。
|