2014年04月26日(土) |
傾向と対策について。 |
てめえは本番に強いということを密かに自慢しているが、これは単に運が良い、あるいは実力がある、と言うこととはイコールではない。てめえにも、これまでの人生で確立したそれなりのやり方があり、それに従うことで自信を持って本番に臨めるからである。
てめえが初めて試験に挑んだのは高校受験の時だった。試験勉強のやり方を全く知らなかったので、クソ真面目に盲目的に全分野をただ勉強し、結果として第一志望に見事に玉砕した。
高校に進学した時は大学に進学する気もなかったのだが、プラスチック工場で悟りを啓いた結果、てめえはまじめに大学受験に挑むこととなった。
さて、同じ過ちを繰り返すのは賢明ではないので、てめえはまず、どうすれば「うまくいくのか」を考えた。なんで高校受験はうまくいかなかったのか? 限られた時間で成功するにはどうしたらいいのか?
普通なら、その思考を「学校」に丸投げして、なけなしの予算をつぎ込んで予備校に通っただろう。しかし予備校に行ってそれだけのリターンがあるのだろうか?
それすらもよくわからなかった。そもそもてめえは「学校」というものに期待をしていなかったし、したがって予備校に過大な期待を持つ人たちのことを理解できなかった。ので、まずは成功した人の話を参考にしようと思いついた。
そんなわけで、夏くらいから仕事帰りに本屋さんで立ち読みを始めた。プラスチック工場の薄給では欲しい本を全て買うわけにはいかなかったし、立ち読みは苦ではなかった。
とりあえず、「大学受験記」みたいな本を片っ端から読んだ。その系統の本は、今でもたくさん出ている。いや、今ならネット上にそれ以上の情報がごろごろ転がっている。しかしその時代にはネットもなく、ひたすら仕事で疲れた体を引きずって本屋に通った。
その結果、面白いことが分かった。
普通の大学に合格した人の勉強法は非常にオーソドックスであった。よくつかわれている参考書や問題集を何冊も勉強し、寝る間も惜しんで勉強し、そして塾や予備校に通っている。
しかし、いわゆる難関と言われる大学に合格する人はそうではなかった。使っている問題集はせいぜい1-2冊で寝る時間は削らず、そして予備校に通う人は少数であった。
後者はそれだけ頭が良かった、もとが良いからそんなに勉強しなくても合格したんだろうと普通は考えると思うが、てめえは違った。「全てが理にかなっている」と思ったのだ。
もう一つ、後者の合格記には共通点があった。「傾向と対策をしっかりしている」ということ。つまり、受験する学校は早くに決めていて、その学校に合格するための勉強をしていた。逆に前者はがむしゃらに勉強して、その時点での偏差値をもとに学校を決めていた。これだと、勉強する範囲は前者の方がはるかに多くなる。
てめえは時間がなかったので、後者の戦術をとることにした。つまり受験する学校は絞る。ていうか、経済的な問題で事実上受験できる学校は限られていた。
なんだか面倒くさくなってきたので、この辺で一気にまとめる。
1.受験する学校(あるいは試験)を決める。
2.その学校(あるいは試験)の過去問を少なくとも10年分解いて、傾向を知る。
「実力試し」のために、過去問は最後まで取っておく人がいるが、これは愚の骨頂である。合格するためのヒントは過去問に最も豊富に含まれている。
3.傾向を知った後は、対策を練る。
てめえの受験した学校は、数学ではほぼ出る分野が決まっており、理科は簡単で英語は英文和訳と和文英訳のみであった。
つまり、数学は勉強する分野が決まっており、理科は難問を解く必要がなく、英語は穴埋めや発音問題が出ることはない。英文和訳は、知らない単語があっても誤魔化すテクニックが必要だし、和文英訳は、てめえの知っている単語レベルまで日本語をかみ砕いて英文にすればよい。
4.対策が決まれば、後はひたすらそれに沿ったトレーニングをする。
てめえが立てた対策に予備校が応えてくれるとは全く思えなかったので、予備校や塾に通うのはやめた。お金は働いてためた分が少しはあったが、それ以上に通学に通う時間がもったいなかった。
5.「成功する」というイメージトレーニングを行う。
てめえもてめえの通っていた学校もまったく実績のない状態だったので、本当にそれでうまくいくのか不安でたまらなかった。しかし、考えに考えた戦略と戦術である。もう信じきるしかない。
そんなわけで、不安になったときに「大学生になった自分」を夢想した。それだけではなく、勉強の休憩時間には、実際の受験の日に時間配分をどうするのか、などをひたすらシミュレーションした。
6.「合格する」ということは、合格最低点を1点でも上回ればよい。
500点満点の試験で300点で合格できるとしたら、少なくとも1割増しの330点取れるようにトレーニングすればよい。なにも満点を取る必要は全くない。極端な話、301点でも合格である。ただし毎年試験の難易度などのぶれはあるため、1割増しを目標とした。そのため、各教科ごとの目標点を設定した。
その結果、センター試験も二次試験も目標通り(というか、結果的には目標以上であった)の点数を取ることができ、てめえは晴れて大学生になった。結局、まともに使用した問題集も、教科ごとにせいぜい1-2冊だった。結局、一つの本の中に書いてあることをしっかりと理解すればそれ以上は不要だということを理解した。
要は「傾向と対策」「成功するというイメージトレーニング」である。試験でなくても、学会発表などでもイメージトレーニングすることによって失敗することはない。他にも応用はいくらでも効くと思う。
大学受験での成功に味をしめたてめえは、その後の試験も同じやり方でことごとく突破することができた。医師国家試験に関しては、ほぼ過去問しか勉強しなかった。そして、今後もたいがいの試験には落ちないだろうと思う。
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