てめえは20歳と少しで二輪免許を取って以降、ひたすら単車に乗り続けてきた。クルマの免許に興味がなかった訳ではないが、お金がなかった。四輪の免許を持っている人の多くは親に金を出してもらった人が多いだろうと思うが、学費すら出してくれなかったてめえの親が免許のお金を出す訳がない。
そんなわけで、てめえは自分で稼いだ金で二輪の免許を取った。それからは単車ばかりの人生。
二輪にとって、一番の面倒は雨。とにかく大変で、無防備で走っていていきなり雨に会うと悲惨としか言いようがない。
思い出すのは沖縄時代。休日もなく働いていたが、少しだけ時間が出来たので、単車でラーメンを食べに行った。てめえの住んでいた名護市にはろくなラーメン屋がなかったが、那覇の近くまで行けばそれなりに選択枝はあった。
自宅を出てひたすら南へとバイクを走らせる。心地よい風に包まれてバイクは走る。
名護から恩納村、読谷へと下っていったら、急に天候が怪しくなった。沖縄に住んでいる人ならわかると思うが、読谷って本当になんもない。サトウキビ畑の中に走る道路があるだけで、バス停もないので雨が降ったら逃げる場所がないのだ。
目指すラーメン屋まで雨が降らないことを祈りながら、てめえは南下した。まあそんな思いもむなしくスコールが襲来し、ぐっしょり濡れたてめえはラーメンを食べることもなく家に帰ったわけさ。涙
何が言いたいかというと。二輪の敵は雨である、ということと、それ以上にクルマであるということ。
クルマは危ない。彼らは歩行者や自転車には牙を剥かないが、単車に対しては容易に牙を剥く。ウィンカーも出さずに車線変更はするし、一番腹が立つのは幅寄せ。明らかに殺意があるだろ。そんなわけで、てめえはいつも殺されそうになりながら、健気に走っているのだぜ。
長いこと二輪で走っていたら、クルマに殺されそうになったことなど数知れない。よく生き残ってきたのは、てめえが必要以上に安全運転しているからだろう。クルマは適当に走っていて二輪と交錯してもまず死なないが、二輪はだいたい死ぬ。
てめえも月に一回は殺されかけると思うような体験をする。もう慣れたけどね。前にも書いたがウィンカーを出さずに車線変更したり。巻き込まれたら死ぬのはてめえだぜ。
そして最近はてめえを殺そうとするクルマの傾向が出てきたのだ。それは「プリウス」だ。プリウスを運転している連中は非常に危ない運転をする。てめえは何度プリウスに殺されかけたものか。
面白いことはてめえ的には全くないが、傾向としては他のトヨタ車にも他社のハイブリッド車にもみられない、プリウスにのみ観られる傾向。なんだろうねこれは。
そんなわけで、てめえはプリウスを観ると出来るだけ近付かないようにしている。こんなクルマに殺されたくないしね。
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