Sun Set Days
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2001年08月31日(金) 「ワインビーフ」考察

 先日、夏休みに北海道を旅行していた後輩夫婦がおみやげに「ワインビーフ」をくれた。いわゆるビーフジャーキーみたいなやつだ。名前の通り、ワイン味。
 そして、昨日の夜ああこれ食べよう、でもお酒飲まないしな……と思いつつパッケージを見ていると、ちゃんと特色が書かれていた。そういうのを読むのは好きなのでどれどれと読んでみる。

○ワインビーフの特色○

「ワインビーフ」は、新鮮で良質な十勝牛の肉を主原料に天然の香辛料を加えて乾燥し、まろやかな風味とソフトな舌触りに仕上げております。」

 へぇー、なるほど、おいしそうだ。新鮮な十勝牛ってところにとりわけ興味をそそられる。

「その上低カロリーで高タンパクな「ワインビーフ」は、」

 ふむふむ、カロリーも低いんだ、高そうに見えるのに、それなら女の人も安心だ。

「オードブルに、ワインや洋酒のおつまみに、ゴルフコンペの参加賞やハイキング・登山のお供に、またお子様の健康のためにも最適です。」

 ……

 ……

 やけに具体的だよ。
 オードブルやワインのおつまみと言うのはよくわかる。もともとビーフジャーキーだし。
 ただ、ゴルフコンペの参加賞っていうのがすごい、賞まで限定している。
 確かに、2等とかでもらっても困るサイズではあるけれど。
 また、登山のお供にっていうのも、冷静に考えてみるとちょっとすごい。
 山頂に上り、気持ちのよい風を浴びながら食べる「ワインビーフ」。
 眼下に広がる景色もより素晴らしく見えること間違いなし。


―――――――――

 そのパッケージには、他にもいろいろと書かれている。
 とくに注目できるのがご当地の歳時記と銘打って季節ごとの観光イベントをイラスト付きで紹介しているところだ。
 さすが北海道土産。
 帰った後にも思い出に浸らせてもらえるというわけだ。気に入った人はリピーターになるだろうし。
 どれどれとそれも読んでみる。


 春 まきばの家オープン

「まきばの家で「ワインと牛肉、ビーフソーセージ、いも団子」等がバカウケ。コテージ村で家族や仲間とワイワイやるのが楽しそう。大きなモンゴルテント・パオで仲間たちと遊牧民の気分を味わってみませんか。夜には満天の星空が歓迎してくれるはずです。」

 そうか。いまはいも団子がバカウケだったのかと、北海道の地味なブームを知ってしまい思わずせつなくなる。バカウケってまだ死語じゃなかったんだ……
 いも団子。
 トウモロコシとか、牛乳とか、他にもいろいろあったと思うのだけれど、どうしていも団子をセレクトしてしまったのだろう。
 そして大きなモンゴルテント・パオの登場にいたっては、もうこれがどこの国の名産なのかさえもわからない。いくら仲間たちと遊牧民の気分を味わっていようと、彼らがいるのは紛れもなく日本、疑いようもない北海道なのだ。
 もうこの時点で「ワインビーフ」は僕の心をとらえて離さないのだけれど、とどめの一撃がちゃんとまっていた。

 夏 ○○○夏まつり

「メインストリートの交通をしゃ断してのビッグイベント。ちびっこフェスティバルと仮装盆踊りが見どころ。」

 文章は普通の夏まつりの紹介なんだけれど、そこに挿入されているイラストが、153キロの直球。


 イラストの説明


 提灯がぶら下がっている。
 その明かりの下で楽しそうに踊っている仮装をしている人たち。
 両手を挙げているスーパーマンの仮装をしている女性、
 フラダンスのようなポーズをとっているフランケンシュタインの仮装をしている男性、
 (それは真夏のはずなのに)黒いマントをまとって、ドラキュラの仮装をしている男性、
 その三人の前で無邪気に笑顔を見せている金太郎の仮装をしている子供。
 4人とも、まるで何者かに操られているかのような笑顔で一心に踊っている。


 そういうイラストが(やけにリアルな筆致で)描かれているのだ。
 一瞬、本気でこの町に行こうかと思った。
 仮装盆踊り。
 いろいろな意味で、忘れられない夜になりそうだ。

 さすがはお土産界の松坂大輔とも異名をとる「ワインビーフ」。
 153キロの直球だ。
 デットボールだけど。

 味はなかなかいけました。
 ワインの味がそれほど強くはなくて。カロリーも低いし。
 このページを読んでいるゴルフコンペ主催者のみなさまに、ぜひおすすめします。
 参加賞でどうでしょう?


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 お知らせ

 来年の夏休みは決まりです。


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