Sun Set Days
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2001年10月27日(土) ananごっこ

 また日付が変わってから書きはじめている。

 今日はというか、今日も飲み。
 横浜駅西口交番の前で19時に待ち合わせ。
 駅から徒歩5分くらいのところにあるピザをピッツアと書いてあるような飲み屋。
 注文するときに、ピザのほうがいいのに……とか思う。
 ピッツアとか発音するのが恥ずかしいのだ。
 格好つけたような名前のメニューって、注文するのに照れてしまう。
 基本的な属性が田舎者だからかもしれない。
 そしてやや照れながら発音するので、「ナスとひき肉のピッザ」と言ってしまう。


 ピッザ。


 なんだよ、いいじゃないかあ……。


 それでも全然通じるので、なんとなく複雑な気分になる。
 まあ、とてもささやかな取るに足らないことではあるのだけれど。

 何だかんだで3時間以上話していたのだけれど、いろいろな話が出てきた中で、今日飲んでいた相手(男。5歳年下)がクリスマスを一人で過ごさないためにこれから短期集中で頑張るという話を力を込めてしていた。もうなんなら、期間限定でもいいっすから、と。
 その話を聞いていて、そうかーとか思った。もうクリスマスとか言いはじめる時期なんだ。
 来週には11月だし、確かにあっという間に12月になって、クリスマスになってしまうのだろう。
 そして、クリスマスは一人身には結構こたえる時期ということなんだろう。
 とは言え、期間限定っていうのはどうかとは思うのだけれど。
 修学旅行じゃないんだから。

 その男が前の恋人と別れてからの時期がちょうど僕と同じくらいで、じゃあ僕はどうなんだろうとちょっと思った。
 もちろんクリスマスを一人で過ごすことは寂しくはあるけれど、別にそれでもいいやという感じ。どちらにしてもケーキはちゃんと買うけど。
 よく考えたら僕はそんなにモテる方ではないし、いままでにちゃんと付き合った人は(それなりに長い期間だったにしても)5人だし、27歳の男としてはすでに枯れているのかもしれない。
 そして昨日同期と飲んでいるときに話が出てきたのだけれど、僕の場合は基本的にいろいろなことが自己完結しているので、一人の暮らしを満喫しているので別にこのままでもいいやとなってしまいがちであるようなのだ。
 でもまあ、まだ27歳なのだし、日々はなかなかに楽しいし、いいかなと思ってしまう。
 もしかしたらまだじゃなくて、もうなのかもしれないけど。


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 今日は最寄駅のひとつ前の駅で降りる。
 気持ちよく酔っ払っていたので、酔いを覚ますためにも一駅分歩こうとか思っていたのだ。
 メモリースティックウォークマンも持っているし。
 今日はCoocoや椎名林檎やJanetなんかをランダムに入れていたし。

 そのひとつ前の駅で降りると、近くに0時までやっているミスタードーナツがあって、店構えを見ているとやたらとコーヒーが飲みたくなったのでそこに入った。
 ドーナツ100円セールをやっていたので、エンゼルフレンチをひとつ頼む。
 ミスタードーナツって結構好きだ。
 ホットコーヒーとドーナツ1個という組み合わせはすごくいいと思う。
 ドーナツって、ぱさぱさしているのでそれだけでは食べられないから、飲み物が一緒のほうがよくて、その飲み物はやっぱりホットコーヒーかホットティーだよなあとか思う。
 コーヒーがおかわり自由なところもとてもよくて。
 今夜は、その前に結構いろいろ飲んだりしているので、おかわりをせずに一杯だけにしておいた。
 ミスタードーナツを出ると、ちょうど電車がきていたのか、駅の入り口からたくさんの人たちが吐き出されてきていた。
 僕もその波に混ざって歩き出す。
 この隣の駅はよく散歩の折り返し地点にする駅なので、距離感もよくわかっている。
 あんまり寒くも風が強くもなくて、普通の深夜という感じ。
 途中、こんな道路は男じゃないと歩けないというような暗い道なんかもあって(ずっと電灯がない坂道があるのだ)、なんとなく人気がないのでうたを口ずさみたくなる。
 ウォークマンから流れていたのはCoccoの「雲路の果て」や椎名林檎の「依存症」、それからJanetの「Truth」(←個人的な心のベスト10、今年のいまのところの第1位。最新アルバム『ALL FOR YOU』に収録)などなど。お気に入りの音楽があれば、散歩はよけいに楽しくなる。気持ちだけは、どこまでも歩いていける、と思える。


 こういう、ひとつ前の駅で降りて部屋まで歩くことを、僕はふざけて「ananごっこ」と呼んでいる。
 別にまあananじゃなくてもいいのだけれど、いかにもananなんかに書いていそうなことだからだ。

”一駅手前で降りて、部屋までウォーキング”

 とか。

 僕は基本的にインテリアと収納特集の時には男ではありながらもananを買っているので(いろんな雑誌の特集をぱらぱらと見るけれど、やっぱりananのインテリア特集はわかりやすいしためになると思う。岩立通子さんすごいよ、とか思うし)、そういうときに上記みたいな内容が書いてあったりすることもあるのだ。
 読み物ジャンキーなのでいろいろと読むのだけれど、男性誌と女性誌の違いをひとつ述べよと言われたら、女性誌のほうが圧倒的に向上心のようなものに溢れているところ、と答えるだろう。たぶん男性よりキャリアとかきちんとした生活ということに意識的な割合が高いんじゃないかと思ってしまう。
 他にも、日常でもちょっと背筋を伸ばしてみましょう的な内容が衣食住に渡って書かれているのは女性誌であることが多い。
 男性誌の場合は、もうちょっと、というか結構俗っぽいのが多いのだ。もちろん、それはそれでよいのだけれど(実際読むし)、一部のビジネス誌以外では一駅手前で降りて的な内容はまず皆無だし、一部の雑誌ではそういうのを小バカにしているようなところさえあるし。

 個人的にはそういう行動がどう見られようが別にどうでもよいのだけれど、一駅手前で降りて歩いたりするときには「ananっぽいよなー」とか勝手に思っている。昔の恋人ともそういう話をしていたりした。「あ、これってananっぽい」とか。

 でも女性誌でやれやれと思うのは、広告が多すぎるところ。
 洒落た好々爺でもあった植草甚一氏は、雑誌を読むときにまず広告を全部破いてしまうというようなことをどこかに書いていたけれど、確かにそうして見るといかに広告が多いのかがよくわかるようになる。
 広告を剥ぎ取られた雑誌(とりわけ女性誌)は、なんだか心細そうに薄くなってしまうのだ。
 女性の方は一度試してみると、なかなかに感慨深いものがあるかも。


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 今日電車の中で、「冬物欲しいなあ」とふと思った。
 横浜駅近くは、人がたくさんいるのに、渋谷ほど空間が詰まっていない。
 あんまり来ないのだけれど、結構好きな感じの駅だ。


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 お知らせ

「Truth」はほんとうに名曲なのです。サビとかいつもむねがくるしくなるくらいに。この世のあたたかいものとかせつないものとか過去のおもいでだとか、未来へのきぼうだとか、そういうものをすべて押し込んだような曲。


 歌詞カード(日本語訳のほう)よりコーラス部分を引用すると、


 真実から目を背けないで
 だって心の奥では ちゃんと分っているんでしょう
 吐き出して
 Ooh あなた
 きっとラクになるから
 Ooh あなた 人生きっと明るくなるから
 だって真実とは 人を自由にしてくれるもの


 ジャネットがいつもジャム&ルイスと一緒にアルバムを作るのが嬉しくなるのです。


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