Sun Set Days
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2001年10月31日(水) 『Bruder,Locke』+『ツチケンモモコラーゲン』

 今日はほぼ満月。

 まずは『Bruder,Locke』(ブルーダーとラッケ)から。
 これはもちろん新しいAIBOの名前ではなくて、ある絵本の名前だ。
 池田まり子という若手の絵本作家の作品。
 発行所:バンダイ(グッズ化?)、発売元:主婦と生活社で1000円+税。
 これはオススメです。

 僕はもちろんそれなりの年齢の男の人なので絵本を日常的に買ったりはしないのだけれど(でも20歳を過ぎてから、なぜなのかいままで3人から絵本をプレゼントにもらったことがある。……本が好きと話したから?)、本に関してはそれがどんなジャンルのものであれよいと思えば買うようには(できるだけ)している。自分の関心のようなものが向くものって限られているから、それで伸ばしかけた手を引っ込めるのはもったいないと思うのだ。だから僕は普通の小説を買うように絵本を買うことができるし、『Papa told me』も買えるし、リュウ・ハナブサの『Femme Fatale』(モノクロのヌード写真集)だって買うことができる。
 いいと思えば。
 そして今回は、書店でなんとなく新刊のコーナーに置かれていたこの薄い絵本をめくってみたら、なんだかとてもよい感じだったのだ。
 それなので、さらに数ページめくってみて、ちょっとだけ考えて、手にとってレジに向かった。

 お話自体は、まだちっちゃかったときにママのうたう歌によく出てきたお星様に会いに行きたくなった二人が、お星様を探していろいろな場所をめぐるというものなのだけれど、手書き風のその文字と、絵がとても魅力的だった。
 これは実際に自分の目で確かめてもらいたかったりするので話についてはあんまり触れないけれど、たとえばブルーダーとラッケの二人は、どこにいてもマンテルというフード付のマントを着込んでいる。どのページの絵でもそうで、周りにいるほかの人たちが半袖でも、二人は頑なにマンテル姿なのだ。そういうところも結構おかしかったりする。最初に、そのマンテルについての説明がついているので、そこだけ引用。


 mantel マンテル

 いつも茶色いふわふわ毛のついたフード付のマント(茶色のコートをマントといいます。くり色になったり、チョコレート色になったり、ときにはミルクティーのような色にもなります。)を着ています。それは、春でも夏でもです。なぜかというと、そのマントが大好きだし、寒がりだからです。


 こういうのって、すごくよいと思う(寒がりって、みんな半袖だよ! とか思うのもたのしくて。よっぽど寒がりなんだなとか)。
 また、すべてのセリフに英訳も一緒についているので、そういうところも結構凝っている。
 この絵本で1000円+税っていうのは絶対にリーズナブルだと思うのだけれど、どうなのだろう。
 いま時期だと、クリスマスプレゼントにもよいような。
 僕は密かに親戚の子供にプレゼントを買ったりするおじさんというのに憧れているのだけれど、そういう親戚の子供もいないし、友人の子供はまだ小さいし。とりあえず自分で買うしかないというところ。

 でも、絵本ってそんなに読むわけじゃないから詳しくはわからないのだけれど、これはかなり当たりのような気がするのだけれど。
 絵とか絵本って自分では絶対に描けないので(ドラえもんでさえ謎の生物になる)、すごいとかんしんしてしまうし。


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 次に『ツチケンモモコラーゲン』。
 これはさくらももこと土屋賢二の書き下ろし対談集。
 おもしろかった。
 僕はさくらももこがかなり好きで、ちびまる子ちゃんのコミックスだって(実家には)全巻あるくらいだ。
 エッセイも全部読んでいるし、出たら必ず買うようにしている。
 今回はお茶の水女子大の教授で、哲学家であり、そして週刊文春などでお笑いエッセイを連載したりしている土屋賢二との対談で、「恋愛・結婚について」から「健康について」など、様々な事柄について二人が(おもしろおかしく)語り合っている。
 読んでいて思うのは、さくらももこのスタンスがすごいなあということ。
 たとえば、こういう文章がある。

 あらゆることの興味が、あまり外に向けられていないとは思います。ただ、退屈な日々ではないんですよ。仕事場で仕事をしていたら、真剣に仕事をしますし、家族と過ごす時間も真剣に過ごしています。お母さんの方を真剣にもんだり、息子のゲームに真剣につきあったり、(……)それで眠くなって真剣に睡眠をとるんです。友達と遊ぶのも真剣に遊びますし、スタッフとも真剣に仕事をしたりして真剣に食事を楽しんだりしますね。だから、その都度何をしていても真剣なので、毎日充実していますね。(123-124ページ)

 ちょっとした、ある種の悟りのような状態にいるのだ。
 たしかに、それだけ何をするにも真剣な人生というのは、充実しているのだろうなと思う。
 そして自分を省みて、そういうふうな人生を送れているだろうかと思うと、ほとんどの人はたぶんうーんとなってしまうのだろう。
 もちろん、僕もそう。
 僕も(個人的には)充実していると思っているけれど、それでも何をするにも真剣かといわれたらそんなことはない。
 ねーむーいーとベッドのうえに倒れこんだりもするし、ぼんやりとしていたらものすごい時間が経っている! という休日だってもちろんある。日々のなかで惰性でやっていることだってもちろんある。
 それなので、ちょっと衿を正そう! とか思ってしまったりもして。仕事でも遊びでもなんでも(ぼうっとするのでも)真剣にするというのは大切かもしれないと。
 あともうふたつ、よかった部分があって、

 子供の頃って、別にたいした意味もないのに、ただ空が晴れてるっていうだけでうれしかったりしたじゃないですか。町内でお祭りをやるなんてきいただけでもう胸がはりさけそうなぐらいわくわくしたり、そういう感じって大人になってからあんまり感じたことなかったんですよね。子供の頃より楽しいことがいっぱいあるはずなのに、どうしてだろうって思ってたら、久しぶりにそういう感じが戻ってきたんです。(61ページ)。

 というところと、

 私自身に関していえば、選択しているという自覚をもつことは大切だと思っているんですけど。そのほうが、誤った選択をした場合の軌道修正もすぐにできますしね。自分がどういう選択をしているかということを、日常的にクリアにしていることが肝心だと思っているんです。(161ページ)

 というところ。どちらも、考えに迷いがなくて共感がもてる。引用した文章にも同じ単語があるけれど、さくらももこはとてもクリアな人だよなあと思う。

 もちろん、土屋氏の文章もおもしろかった。

 1時間もしないで読み終えてしまえるくらいの分量なので、気軽にページをめくりたいときにはオススメです。


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 先日、とある先輩(男)といろいろと話している内に、なぜか結婚についての話になった。
 なんでそんな話になったのかはよくわからないのだけれど、意外と盛り上がる。

 その先輩はもう少しで29歳で、いまは恋人はいない。
 結構よい感じの相手はいるらしいのだが(最近も映画を観に行ったと話していた)、それでも躊躇してしまうのだそうだ。
 というのも、年齢的なもので。
 このくらいの年齢になると、付き合う=結婚となってしまう可能性が高いから、おいそれと軽い気持ちでまずは付き合ってみるということがしずらいというのだ。リスクが大きい、というような言葉を選んでいた。
 確かにそういう部分はなきにしもあらずだとは思う(このことばはひさしぶりに使ったよ)。実際、僕らの周りの同年代の友人のなかにはすでに結婚して、子供が生まれている人だってそれなりにいる(友人が子供の写真をE-mailしてきたときには、自分がものすごく大人になったような気がして、感慨深いものがあった)。だからこのくらいの年齢の人たちにとってみると、どうしたって付き合う相手との結婚をより意識せざるをえなくなってしまうのだろう。言葉に出しても出さなくても。
 だからよっぽど好きにならないと付き合えないとその先輩は話していた。
 人によっては、付き合ってみないと好きになるかどうかなんてわからないという人もいるけれど。
 まだまだ遊ぶぞと公言して憚らないやつも結構いるけど。

 長年の友人(女)と電話で話しているときには、その子はやりたい仕事ができてそのために学校を受け直すために会社を辞めて勉強をしているのだけれど、実際学校に行ったら出るときには30を越えているし、いろいろと考えてしまうところはあると話していた。ただ、後悔はしたくないので自分の夢のほうを優先させるのだということを話していて。
 その姿勢はすごいと尊敬してしまうのだけれど(応援もしている)、そういう話を聞くと、確かに自分たちがいろいろと微妙な局面に立たされるような年代になってきたのだとは思う。
 まあ、もちろん学校にいながら結婚することだってできるわけだけれど。

 ある程度の年齢になってきたら、いい人はたいてい結婚しているのと話している人もいた。
 これって、結構乱暴な言葉だと思うのだけれど。

 それにしても、今回の先輩の話ではないけれど、結婚にまつわる話題は昔と比べるとかなりの頻度で周囲から聞こえてくるようになったし、面白いエピソードだってそれなりに聞くようになってきた。
 たとえば、出会ってから2ヶ月くらいで結婚を決めた某カップルや(『60日間』っていう短編ができそう)、7年間付き合ってきて、途中に数年の遠距離を挟みつつゴールインした某カップル(おめでとう!)、幼なじみ同士で結婚した某カップル(マンガみたい)など、いろんな形があってなかなかに面白い。偶然なのか必然なのか友人のカップルで離婚をしたところはまだなくて、それなのでいまのところ話を聞く分には、結婚は(何だかんだ言っても)いいもののように思っている。
 過剰な憧れは持ってはいないつもりだけれど、結婚願望がそんなに強くはない僕でも、楽しそうに見えるくらいには。

 
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 お知らせ

 1度だけ友人の結婚式で、友人代表のスピーチというやつをやったことがあるのですが、あれは紙を見て話してもいいものだということを知らなくて、滅茶苦茶練習して何も見ないで喋りました。
 だって、(基本的には)一生に一度の舞台だから、ぶち壊しにしたらまずいと思って。しかも新郎は某県庁に勤めていたので、お偉いさんがずらりだったし……そうしたら、他の人は「最近記憶力が悪くなってしまって……失礼して紙を読ませてもらいます」とか言ってました……あの時は最高に「ええーっ」と思ったしますます緊張しました(式場には自分を追い込む意味もあって紙を持っていっていなかったので……結果は好評だったのでよかったのですけど)。


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