Sun Set Days
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2001年11月03日(土) 『ビリー・ジョーの大地』

 金曜日に、最近抱えていた仕事のひとつが終了した。
 23時過ぎに部屋に帰ってきたときには、明日は久しぶりに仕事のことを考えなくてもいい休日なんだと思って、ちょっと嬉しかった。
 最近は休日でも必ず数時間は仕事の資料なんかを作成していたのだ。
 昨晩はマネジャーと一緒の電車に乗っていたのだけれど、明日は休めよと言われていたし。
 それで、夜更かしをしようと思ってコンビニでお茶とジュースを買ったのに、部屋に帰ってきて着替えた後、気がつくといつの間にか眠ってしまっていた。自分で思っていたよりも、結構疲労がたまっていたのかもしれない。そのまま一度も目を覚ますことなく、午前9時まで眠り続けた。コンポの電源もノートパソコンの電源も、つけっぱなしのままで。

 目を覚ますと、すでに朝になっていて、一瞬、時間感覚が失われていた。
 ぼんやりとする頭で、「そうか。眠ってしまったんだ」と思う。
 しばらくさらにベッドのなかで横になったまままどろんだりしていた。
 まどろむのは気持ちがいい。
 特に、それがのんびりすることのできる休日なら。


――――――――――

『ビリー・ジョーの大地』読了。カレン・ヘス著、伊藤比呂美訳。理論社。

 帯にはこう書かれている。

「――作者がこの独特の文体を選んだのは成功だった。物語のあちこちに、印象的なイメージがちりばめられている。無駄のないその文章は、我々が普段使っている言葉による詩のお手本のようだ。行間からは、ビリー・ジョーの声が聞こえ、そのこがれるような願いが一語一語伝わってくるようだ。それは、あまりにも過酷な過去の一時代と、その時代を生きたある家族が再生する様を豊かに描き出し、直に伝えてくれる――」(The Horn Book Magazinより)

 こうも書かれている。

「詩人・伊藤比呂美によって訳された日記のような詩、詩のような小説
 1934年、大恐慌の真っただ中のアメリカ・オクラホマ 14歳の少女の強靭で無垢な魂の叫び」

 この作品は1934年1月にはじまり、1935年12月におわる。そこにはビリー・ジョーの手による何十編にもなる詩のような日記が編まれていて、力強く、飾り気のない言葉で、彼女の周りで起こった出来事と、彼女の目から見た世界を記録している。
 そこで語られるのは、家族のこと(寡黙な父親、厳しくも愛情に溢れる母親、もうすぐ生まれてくる子供)、砂嵐のこと(父親は農夫で、砂嵐のために小麦の収穫を奪われてしまう。砂嵐は何度も何度も、町を打ちのめしてしまうかのように繰り返し訪れる)、町の人たちのこと(小学校や、町で小さな事件がよく起こる)、そして大好きなピアノのこと。ビリー・ジョーはピアノを弾くことにほとんど”飢えている”というくらいに夢中になっているのだ。
 裕福でもなんでもない、むしろ厳しい荒涼とした大地での日々。
 けれども、ビリー・ジョーは幸福だ。
 ピアノがあるし、家族もいる。

 けれど、途中である悲劇が起こる。そこから、それまでの素直な調子の日記のトーンが変わっていく。
 たくさんのことが変わっていく。
 失われてしまったものは、あまりにも大きく、ビリー・ジョーの中に拭い難い大きな痕跡を残す。

 物語は、その失われてしまったものが、以前とは違うもので少しずつ埋められはじめるところで終わる。
 もちろん、失われてしまったものは永久に戻ることはないけれど、それでも人は前に進んでいかなければならないのだ。

 日記のような詩、詩のような小説というのはたとえばこんな感じだ。


「食卓のきまり」の一部分より(32-33ページ)

 ナプキンをふるって
 膝にひろげて
 お皿とコップをひっくり返す。
 輪の形がはっきり残る。
 この暮らしにこの土埃がなかったら、についての
 率直なご意見ご感想を聞かされてるみたいだ。

「ポリー、今日はじゃがいもにコショーをかけすぎたのかい」とか
「夕飯にチョコレートミルク! すごすぎるぜ」とか
 とうさんは言ってるけど
 コショーもチョコレートも
 現実には土埃
 それ以外の何ものでもない。


「郵便列車」の一部分(203ページ)

 郵便局の宣伝文句は「雨にも負けず
 暑さにも負けず
 雪にも
 夜の暗闇にも負けず
 みなさまの郵便局は郵便を配達します」
 ……土埃のことは言いわすれてるよ。


「難民たち」の一部分(206-207ページ)

 雨が降ったら帰ってくるから、と人々は言う。
 そして出ていく。
 ベッドの台もマットレスも
 コンロもお皿も
 台所のテーブルも
 乳ヤギも
 一切合切、車の荷台にくくりつけて
 大きな鳥かごみたいにがたがたゆられて
 カリフォルニアめざして
 出ていく。
 帰ってくる、とみんなが言うけど
 そこがほんとうにそんなにいいところだったら
 もう帰ってこないかもしれない。

 忘れないでね、と言うけれど
 あんまりたくさんの人が出ていってしまうから
 どうすれば
 忘れずにいられるのかわからない。


「希望」の一部分(229ページ)

 さいしょはやわらかく降り、それから少し強く
 ごちごちに固まった地面に
 しみいり
 今までに降った分を
 おぎない
 やがて雨になった。
 ならんで歩いていく友だちみたいに
 いつもそばにいて
 じゃまなんかしないで
 つらいときはずっといっしょにいてくれるような
 雨になった。


 これはあくまでも一部分だし、この物語の核心に関連する内容には触れていないのだけれど、実際に全部読んでみた人はビリー・ジョーに強い共感を抱かずにいられないんじゃないだろうかと思う。まっすぐな文章はまっすぐに心の中にある柔らかな場所に届きやすいのか、この本を読んでいる間3回くらい泣きそうになった(正直に言うと泣いてしまった)。本を読んでいて泣くのは久しぶりだったし、途中で気持ちを落ち着けるために本を置いて黙っている時間が必要でもあった。これは小説だけれど、読んでいる間、僕はずっとビリー・ジョーが実在の人物で、彼女の実際の日記であるように思えていた。14歳。たぶんとても重要な時期だ。

 訳者解説のなかで、訳者は実際にビリー・ジョーと同じくらいの13歳と15歳の娘たちに下訳をやってもらったと書いている。もちろん、まとめあげたのは訳者なのだろうけど、その下訳の効果も大きなものなんだろうなと思う。
 自分がそのくらいの年齢のときに考えていたことは忘れてしまったわけではないけれど、それでもそういう時期にしか見ることのできない世界の角度というものがあるのだろうなということを、久しぶりに思い出した。

 普段行かない書店でたまたま見つけた、見慣れない題名だったので手に取っただけの本だった。
 普段詩は読まないのに、たまたまめくったページに書かれていた内容がよさそうで、それでそのままレジに行った。
 買ってよかったと思った。
 世の中には信じられないくらいの本が溢れているから、そういう偶然の出会いはいつだって嬉しい。
 個人的には、とてもよかったです。


―――――――――

 最近気になったニュースは、税がらみがふたつ。
 ひとつは、杉並区の「レジ袋税」。
 レジ袋をもらうときには、1枚5円を徴収するというもの。ゴミの増加などの観点から決められた模様。
 もうひとつは、東京都の「ホテル税」。これは都内のホテルや旅館の1万円以上の宿泊者から1人100円(1万5000円以上の場合は200円)を徴収するというもの。12月に都議会に提出されるとのこと。年間では、ホテル税で約15億円の税収が見込まれるのだそうだ。
 結構すごい税だ。こういうものにも税がかかるのであれば、今後もっともっと様々なものにも税がかかるようになってくるのかもしれないとふと思ってしまった。


―――――――――

 さて、占いが好きな人ってどれくらいいるのだろう。
 僕は基本的にいいことだけ信じたいし、悪いことは信じたくないという都合のよいスタンスでいるのだけれど、結局は自分次第でどうとでも変えていけるのだろうなとも(楽観的に)思っている。ようはそれほど信じていない。大切なのは、事実とか行動なわけだし。それに、同一人物でも感情や考えは変遷し続けるから、占いで提示された文章はそれがどんなものだってある程度は当たってしまうような気がするし。
 たとえば、その占いの結果の文章が自己認識と近ければ「すごく当たっている」と思うことになるし、遠くても「確かにそういうところはあるかもしれない……」と思えてしまいがちだ。

 ただ、だからと言って占いを否定しているわけじゃない。そういう神秘的なもののもつある種のちからのようなものは確実に存在しているとは思うので、全面的にではないけれど参考にできたら、というくらいには思っている。だって人は物事を決めるときは、すべて理詰めで決めるわけではなくて、最後には勘だとかそういうものを頼りにすることもあるし。占いだってそういう種類のひとつには(場合によっては)なりえると思うし。
 
 ということで、今日は占いの話。
 実は、後輩が最近手相をみてもらったという話を職場でしていたのだ。
 会社を辞めたほうがいいとか、人に使われるタイプじゃないというようなことを言われたと話していた。
 手相って、一度も見てもらったことがない。
 話を聞くと、結構面白そうだなと思うのだけれど、近くにはないし。
 今月か来月に横浜の中華街にゴハンを食べにいく予定があるので、そのときにみんなで見てもらおうという話になる。
 中華街にいる手相見なら、なんとなく信憑性があるような気がしないでもないし。

 そこで、今日は部屋にいながら気軽にできるということで、インターネットで占いをしてみた。
 最近は、どのプロバイダのホームページにも占いのコンテンツがあるようだから、結構流行っているのだろうなと思う。
 僕の入っているプロバイダにもびっくりするくらいの占いがある。
 どれをやったらいいのかがわからないくらい。
 西洋占星術。
 四柱推命。
 姓名判断。
 タロット占い。
 0学占い(←なにこれ?)
 ……
 ……
 数えあげればきりがないくらいだ。

 とりあえず、2002年の運勢を占うというやつをやってみた。
 まあ、とりあえずこういうのはおさえておこうということで。
 点数も出る。
 点数は、以下の通り。

 総合運:85点
 恋愛運:80点
 人間関係運:80点
 金運:50点
 仕事運:80点

 結構いい。
 悪いより良いにこしたことがないので結構嬉しい(単純)。

 もちろん、それぞれに解説の文章があって、それを抜粋すると、

○総合運
「周囲の状況が気にかかる一年になりそうです。ですが、他の人の行動を気にして監視したり、疑ったりするのはやめましょう。気になるのはわかりますが、疑惑の中からは発展性のあることは何も生まれません。」
「特におおらかな気持ちで過ごすことが大切でしょう。」
「好奇心をうまく利用して新分野を開拓することが今年のあなたには幸運の鍵になるのです。」

 疑惑の中からは発展性のあることは何も生まれないって、なんだかなるほどと思ってしまうような言葉だ。占いの結果じゃなくても。
 好奇心は大切にしようと思ってみたり。


○恋愛運

「相手にすでに恋人がいても、たとえ結婚しているとしても、その人と別れてあなたと恋に落ちるでしょう。」

 ……ドロ沼だ。
 結婚している人と恋に落ちたら不倫になってしまう……

「意中の相手がいるなら迷わずに積極的に行動してください。」

 これはたとえ不倫で茨の道になっても、突き進めということですか?


○人間関係運
「仕事や人間関係においても周囲をまとめていくリーダー的な人物と縁がある年です。」
「その人があなたに一年間幸運を与えてくれるでしょう。」

 上司には結構恵まれている方だと思うので、そういうことなんだろうか。リーダー的人物だし。


○金運
「ギャンブルは楽しめますが、現実的な利益にはつながりません。パチンコ、競馬なども少しは当たるでしょうがそのうち負けが込んできます。」
「今年は大物の購入は待った方がよさそうです。」

 パチンコも競馬もやらないので、関係なし(そういえば競馬に連れて行ってくれる話が立ち消えになっている)。
 大物かあ。欲しいものがあったのだけれど。


○仕事運
「2002年は、仕事運が快調で、完全燃焼できそうです。やること成すことすべてが、あなたの思いどおりにいくでしょう。」
「これまで後回しにしていたやっかいな懸案が、不思議なほどはかどる時です。」
「資格試験やオーディションにツキがありますので、挑戦してみる価値は十分にあるでしょう。」

 これは正直かなり嬉しい。こういう占いなら大歓迎だ(←都合がいい)。
 もちろん、実際にはやること成すことすべてがうまくいくということはなさそうだけれど、ただ、そうなるためにがんばれということなんだろうなと思う。
 ただ、ちょっと気になるのが完全燃焼という言葉。
 ……燃え尽きるのですか?

 
 最後に、占い師からのメッセージがある。

「2002年は、人間関係や友情が充実し、社交運が活発になってくるでしょう。」
「人と関わることで大きな幸運をつかめる一年でしょう。」

 なるほど。仕事的に人とは関わると思うので、頑張ろうというところ。
 でも普通は、いろんな人と関わっていくと確かにいろんなことがよくまわるようになるとも思うのだけれど。


 もうひとつ、ホロスコープをもとにしたキャラクター診断というやつをやってみる。ホロスコープって、よくわからないのだけれど、とりあえず指定されている通りに生まれた年月日や時間、出生地を入力する。僕はSun SetというHNだけあって、17:08に札幌で生まれている。
 それはこんな感じ。

○基本的なキャラクター

「あなたはとても感情が豊かで、人なつっこいタイプのようです。」
「人に共感しやすいので、どこへ行っても、すぐに誰とでもなじむことができるでしょう。」
「感受性の強いあなたは、想像力が豊かなロマンティストでもあるようです。」

 人なつっこいかなあ?
 ロマンティストはたぶん結構そう。感傷的だから。


○隠れた魅力

「好奇心が旺盛で、いろいろなことに興味を持って積極的に楽しもうとするでしょう。頭の回転が鋭敏ですばやく、分析力に長けているので、映画鑑賞や読書でどんどん教養を深めていくようです。」
「あなたはさまざまな経験を積むことで、自分の適性をつかみ、着実にステップアップできるタイプといえそうです。」

 そうでもないと思うのだけど。映画や本は好きだけれど、教養が深まっているかどうかはかなり疑問が残るところ。


○もうひとつの顔

「いつも冷静な視点で物事をクールに見つめているような面があるようです。」
「理知的で、状況をクールに判断することができるので、とても聡明な印象を人に与えるでしょう。」
「ステレオタイプな考え方や生き方を嫌うので、自然と少し変わり者になる可能性があります。」

 変わり者か……否定したいなあ。


○開運法

「もともと頭の回転が速くて、自己管理が上手なあなた。その能力をいま以上にもっと磨いて、自分で自分を「支配」できるようになると、驚くほど自由にさまざまなことができるようになるでしょう。」

 睡眠時間を増やすとか。


○エッチ度

「あなたはそんなに性欲が強いわけではなく、エッチ指数はやや低めな模様。」
「どちらかというとエッチの内容よりも、恋人と二人きりで過ごせる時間と、しっとりと盛り上がったムードを重要視するタイプといえそうです。」

 うーん。
 でも確かに友人の彼女とかに○さんって、エッチな本とか買わなさそうとか言われるしな……(買わない男なんかいません。いたら逆にこわいくらい)。
 ただ、下ネタとかそんなに積極的に言わないのは事実。

 占いをするにももちろん料金がかかるので、それくらいにしておく。
 とりあえず来年はよさそうな感じなので、なんとなく嬉しかったり。
 でもまたすぐに忘れてしまうのだろうな。

 それから、来年は不倫に気をつけないと。
 Daysの内容も読んでいて痛い、切ないものに変わっていったりして。

「今日夫と一緒にいるあの人を見た。夫に向かって笑いかけていた。あの人はいつも苦しそうに微笑む。昔はもっと無邪気に笑ったのだろうか?」とか。

 そういうDaysになってしまうのは痛いよ、すごく。
 得意のサザエさんネタでも

「今日サザエさんを見た。ああいう普通の家族が欲しかった。でも、今僕は……」

 みたいになってしまったり。
 書いていて吹き出してしまうのだけれど、もしそうなったらシャレにならない。
 また聞きで、何人か不倫をしている人の話を聞いたことがあるけれど、やっぱり最初は違っても最後には痛いものになっているケースばかりだし。

 でもまあ、二つ見てみたけれど、当たるも八卦当たらぬも八卦なので、参考にして頑張っていこうというところ。

 
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 お知らせ

 動物占いでは確かチーターでした(あんまりよく覚えてないけど)。


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