Sun Set Days
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2002年01月01日(火) 『パイロット・フィッシュ』+『スパイ・ゲーム』+『シュレック』

 【重要】管理人よりのお知らせ


 年末ジャンボがはずれたので傷心の旅に出ます。
 探さないでください……



























 











 新年明けましておめでとうございます!
 2002年がみなさんにとってよりよい1年になりますように。

 そして、本年度もText Sun Setをよろしくお願い致します。 

 新春から無駄にテンションが高いのだけれど、今年もよろしくお願いします。
 個人的かつ非実用的なText Sun Setですが、見に来ていただいている方の存在が更新の原動力になっているのです。

 年末ジャンボのことは、とりあえず忘れます。
 人は、たくさん傷ついて大きくなっていくものだし(?)。


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 年が明ける瞬間は、ゆく年くる年を見ていた。
 カウントダウンが終わってから、CDラックの前にしゃがみこんでCDを選ぶ。
 2002年最初のCDって大切なのだ。
 少しだけ迷ってから、最近再びよく聴いているPizzicate Fiveのベスト・アルバム『Best Hits and Jet Lags 1994-1997』にする。
 ケースを見ながら少しだけ考えて、リモコンで8曲目を選ぶ。


「メッセージ・ソング」


 ここには書かないけれど、この曲の歌詞は本当に素敵で(曲ももちろん素敵なのだけれど)、歌詞カードを読んでいいよなあなんて、女子中学生みたいなことを思ってみたり(このアルバムの歌詞カードもまた、小振りなサイズのよい感じのものだ)。

 でも、小西康陽の書く歌詞はツボにはまることが多くて、このマニアな才人は、男の子と女の子遺伝子の双方を兼ね備えているよなといつも思う。
 たとえば「悲しい歌」にしても「Happy Sad」にしても、昔はずっと野々宮マキが歌詞を書いているものだと思っていて、そうじゃないと知ったときの驚きといったら、やられたーという感じだったし。

 そして、何だかんだで午前6時半まで起きていた。
 メインは、テレビ。
「ガキの使い」の罰ゲームの再放送をやっていたのだ。「24時間耐久鬼ごっこ」と「松ちゃんが旅館に1人泊まる」やつ。
 以前にも見ていたのだけれど、改めて見ても笑えた。初笑い。


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 目覚めると11時で、それからナイトテーブルにコーヒーを持ってきて、ベッドの上に膝を立てて座ったり寝転がったりしながら小説を読んだ。
『パイロットフィッシュ』大崎善生。角川書店。
 19年ぶりに学生時代の恋人から電話がかかってくるところから、彼女(と彼女の娘)に再会するまでに様々な回想を折り挟んだ一人称の小説。
 主人公の「僕」は『ノルウェイの森』のワタナベ君に感じが似ている。
 根本的なモノゴトについてのスタンスが、非常によく似ているような感じがするのだ。
 登場する女性の頭がいい、というか聡明なところも同じ。
 ある種の「喪失」のようなものについて語られているところもたぶん同じだ。

 帯には、「人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない。」と書かれているのだけれど、この物語は「記憶」について、寄せては返す波のように、繰り返し繰り返し様々な方法で語っている。

 たとえば、

 由希子との三年間を僕は思った。十九年たった今もそれは僕の心の中にある。それこそプリクラのように、今となってはそれは小さな小さな思い出のひとつとなってしまった。
 しかし、それはたとえどんなに小さくても心の片隅にペタリと貼られたシールのようなもので、剥がそうとしても簡単に剥がすことはできないのだ。(21ページ)

 という部分がそうだし、他にも記憶についての異なる様々な表現が多用されているのだ。
 他にも、学生時代の回想の場面で、実家で可愛がっていた犬が半年以上前に死んでいたことを知らされた部分ではこう書かれている。

 半年以上前に死んでいたトムは、それを知らされなかったというたったそれだけのことで、僕は生きているトムとして感じたり思い出したり遊んでやりたくなったりしていたのである。少なくともこの半年の間、僕は生きているはずのトムと付き合っていた。(79-80ページ)

 物語自体は淡々とした日々を、感傷的なトーンをちりばめながら切り取っていて(この感傷さの度合いで好みがわかれるかもしれない)、現在と過去の様々なエピソードが最後の方で緩やかなやり方で収斂されていく様には考えさせられてしまった。
 この小説は、『ノルウェイの森』を好きな人なら、読んでみてもすんなり入り込めるんじゃないかと思う。

 ちなみに、帯にはこうも書かれている。

「パイロットフィッシュ」とは、水槽内の環境を整えるために犠牲的に飼われる熱帯魚。

 これが何のメタファーなのかも、読んでいくとわかってそれがせつないのだ、すごく。


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 午後は、ひとりで映画を観に行く。
『シュレック』を観たかったのだ。
 連休中に観に行かないとまたチャンスを逃してしまうと思って、今度はネットで上映時間をちゃんと調べてから出かける。
 濃いグレーのタートルネックに濃い茶色のハーフコート、そして黒のバックを斜めがけで、傍目には幼く見えてどうしようもない格好で出かける。
 部屋から外に出ると午後2時過ぎで、空は随分とまた淡い快晴だった。新春から天気がよいのは幸先よいなと思いながら。

 電車に乗って出かけていったシネコンはものすごく混んでいた。
 それは今日が「映画の日」だからで、ロビーにいる人たちの頭の上に吹き出しで「ハリー」、「ハリー」って書いてあるみたいに『ハリー・ポッターと賢者の石』目当てのファミリーが多かったと思う。チケット売場には、「ハリー」の何時の回がすでに完売ですっていう張り紙がたくさん貼られていて、なかなかすごい光景に少し驚く。
 そして驚いたのは『シュレック』の観ようと思っていた回も満席になっていたこと。

 おそらく、『ハリー』完売→『シュレック』とスライドした家族が多かったのだろうなと思う。
 あるいは、『ハリー』完売→『ハム太郎』とか。
 いずれにしても、完売は仕方がないので、その次の回を観ることにして、時間の近い映画の中で一番興味をひかれた『スパイ・ゲーム』を観ることにする。

 その『スパイ・ゲーム』は面白かった。と言うか渋かった。ロバート・レッドフォードとブラッド・ピットの共演なのだけれど、とりわけレッドフォードがよかった。
 最後のある台詞では思わず泣いてしまったくらい(最近自分のことながら涙腺弱いなあと思う)。
 それまで非情なスパイの論理で渡り合ってきた男が、最後の最後で親心とさえ言えるような人間的な感情に突き動かされて自分が育てた若いスパイを助けようと行動する。そこが非情に熱いのだ。
 また、『アメリ』を観てからは、つい映画がはじまる前の客席を見てしまうのだけれど(さすがに上映中には振り返ることはできないし)、予告編がはじまる前に見た座席には、カップルに紛れて中年のお父さんたちが結構混じっていたのが印象的だった。
 レッドフォード好きなんだろうなとか思ってみたり。
 ちなみに、ブラッド・ピットの出世作『リバー・ランズ・スルー・イット』の監督がレッドフォードだったので、その2人が今度は作中で共演っていうのは不思議な感じがした。『リバー〜』は学生の頃に観ていたのだけれど、レッドフォードは監督としてもよいのだからすごい(しかも、サンダンス映画祭の主催者でもあるし)。

 そして次は『シュレック』。時間がぎりぎりだったので慌てて座席に滑り込む。
 浜ちゃんが声優をしている吹き替え版もあるけれど、僕が観たのは字幕版。
 これもまた面白かった。
 技術の進歩はときに新鮮だよなと思いながら、何度も笑わされる。
 途中、『マトリックス』のパロディなんかもあって、そういうのも面白かった。
 ディズニーならここまでやれないだろうなと思ったり、作っている人たちは楽しかっただろうなと思ってみたり。
 この作品も子供と大人双方が楽しむことができると思う。

 また、映画の予告編では、ここ数日間で何度も繰り返し観た『オーシャンズ11』と『指輪物語』がとても面白そう。
 とりわけ後者は、『「小さきものたち族」が宇宙を救う』っていうキャプションだけで思わず泣きそうになってしまうくらい。
 でも、絶対に観に行きたい映画だ。


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 CDも買った。4枚。
 輸入盤を3枚以上購入すると、1枚1380円になるサービス期間中だったので、いままで欲しかったのだけれど躊躇していたものをまとめて。

『NOW』Maxwell
『8701』Usher
『The Very Best of Daryl Hall John Oates』Hall&Oates
『Britney』Britney Spears

 まだ全部聴いているわけではないのだけれど、いまのところかなりよい感じ。
 とりわけ、ホール&オーツの「Private Eyes」(SonyのCyber-ShotのCMで流れている曲)や「One On One」はやっぱり名曲だし。
 年末に購入したCDと併せて、この連休はたくさんの音楽を聴こう。


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 というような感じで、元旦からいろいろと楽しみの多い1日だった。
 僕は基本的に昔親が話していた「元旦からお金を使うとその年は浪費がちになる」という言い伝えを信じているのだけれど、それが映画やCDにならば、逆によいことなんじゃないかなと思うようにした。
 そういう1日。


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 お知らせ.1

 John Oatesって、マリオに似ていると思うのだけれど(もしくはルイージに)。 


 お知らせ.2

 もちろん旅には出ていませんよ(念のため)。


 お知らせ.3

 個人的な今年の目標は、「一生懸命」です。
 やりたいことが幾つかあるのだけれど、それに向かって一生懸命頑張るということ。
 ただ、それは一箇所でというよりは幾つかの場所やジャンルになると思われるので、「一所懸命」ではなく「一生懸命」の方で。
 やや抽象的だけれど、これが大テーマで、それを具体的なものに落とした中テーマも幾つか用意して補完しあえるようにしているのです。

 今年も頑張ろう。


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