Sun Set Days
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2002年03月24日(日) ウィット・クラブ+PSB+『僕たちのアナ・バナナ』

 やあ、みんな! ウィット・クラブ会長のウィッキーです! 今日はボクのトーク・ショー「ウィッキーのウィッと一杯」に来てくれてどうもありがとう!
 ちなみに、このショーの略称は『ウィ・ウィ』だよ。みんなも家族やクラスメイトに「今週の『ウィ・ウィ』見た?」って必ず訊いてくれよ。訊かない人には不幸の手紙を送るよ!

 えー、コホン。
 さて、さっそくはじめようか。
 日頃からウィットのある会話をしていたいんだっていう人が最近とみに増えてるねえ。
 ボクの事務所「ウィット・クラブ」の電話も鳴りっぱなしだよ。「天ぷらそば2杯急いで!」とか「どんなパンツはいてるの」とか。
 やっぱり、日本でも知的でクールなウィットに富んだ会話をしたいっていう人たちはたくさんいるんだね。
 ウィッキーさんはそれを知って感激しているんだ。

 そんなウィットを楽しみたい人たちのための番組「ウィッキーのウィッと一杯」、さて、今日もスタートだ。

 さて、まずは「こんなときにとっさの一言」のコーナー! パフパフパフー!
 こういうシチュエーションのときにとっさにどう答えればいいのかをウィッキーさんが簡単に解説していくよ。

 まずは、「彼女の部屋に行ったら、親友が彼女と浮気をしているのを目撃してしまった」とき。
 あー、これはよくあるねえ。ほんとによくあるよ……(遠い目)
 ボクもいままでに5回くらいこういう経験があるよ。
 でも、もう大丈夫。
 こういうときにも、ちゃーんとウィットに富んだ会話ができるんだ。でもちょっと難易度が高いね。ようく見ておいてくれよ。心の傷が深くならないようにね。


 シチュエーションドラマスタート

(何気なく合鍵を使って恋人の部屋に入ったウィッキーさん。するとそこには抱き合ってキスをしている恋人と自分の親友が)

 ウィッキー:(思わずその場で声を失う)

 親友:あ、い、いや、これはさ……

 恋人:…………(うつむいたまま黙っている)

 ウィッキー:んー、これはドッキリカメラってやつだね。俺はだまされないぜ。さて、カメラはどこに隠れているんだ? ここか?(クロゼットを開ける) それともここか?(トイレのドアを開ける) うーん、じゃあこっちだな?(しゃがみこんで台所の戸棚を開ける)んー、いないなー?

 親友:い、いや、ウィッキー、そんなんじゃないんだ……

 ウィッキー:おっと、ごまかそうとしてもそうはいかないぜ。どっかに隠れているんだろ。なるほど、遠隔操作ってわけだな? 巧いこと考えたもんだ! ハッ! あの外にあったワゴン車か!

(そしてウィッキーさんは勢いよく部屋を出て、階段を駆け下りていく。部屋に残された2人は申し訳無さそうに顔を見合わせる)

 勢いよく路地に飛び出したウィッキーさん:ここか? ん? いないぞ? あっちか?

 アパートから少し離れたところまできたウィッキーさん:うっ、ウウウ……(手の甲で流れる涙をぬぐいながら、肩を落とし暗い路地を歩いていく)


(画面がスタジオに切り替わる)


 いいねえ! とってもクールだろ? 起こってしまったことは仕方がないと、2人を責めることなく、ただし違和感なくその場を離れるためのウィットが炸裂だ。
 ドッキリカメラとはまた考えたもんだね。
 でも心の中でもウィッキーさん泣いてるよ。
 背中に哀愁が漂っているもんね!


 次は「鈴木さんだと思って話していた人が実は伊藤さんだった」とき。
 あー、これもよくあるねえ。ほんとによくあるよ……(遠い目)
 ボクも1日に2回くらいは人の名前を間違えるからねえ。
 でも、もう大丈夫。
 こういうときにも、ちゃーんとウィットに富んだ会話ができるんだ。これは簡単だよ、いつものあのパターンさ。さぁーて、ようく見ておいてくれよ。


 シチュエーションドラマスタート

(オフィスビルのロビーで楽しそうに談笑しているウィッキーさんと取引先の伊藤さん)

 伊藤さん:いやー、お互いこれからも協力していきたいものですなあ。

 ウィッキー:いや、本当にそうですね。私どもとしても、ぜひ鈴木さんとは末永くお付き合いさせていただきたいものです。

 伊藤さん:鈴木? ワシは伊藤だが……

 ウィッキー:何をおっしゃるんです! 鈴木さん! あなたは鈴木さんじゃないですか! まさか自分の苗字をお忘れになったのですか?

 伊藤さん:な、何を言っているんだ君は。失礼にもほどが…… (ボガッ) ウッ…… (ドサッ)

(ウィッキーさんに強烈なボディーブローをくらった伊藤さんがその場に倒れこむ、画面暗転)

(画面明るくなる)

 伊藤さん:……ん? ここは?

 ウィッキー:医務室ですよ。伊藤さん。

 伊藤さん:なんでこんなところに?

 ウィッキー:先ほどロビーで話しているときに、伊藤さんがいきなり意識を失われまして……それで慌ててこちらへお運びしたんですよ伊藤さん。

 伊藤さん:そうですか。これはご迷惑を……

 ウィッキー:伊藤さんが意識を失われているときに、うわごとで鈴木さんがどうとかおっしゃられていましたが……何かあったのですか?

 伊藤さん:鈴木? いや、よくは覚えてはおらんが……

 ウィッキー:何はともあれ、大事にならなくてよかったですよ、伊藤さん……。


(画面がスタジオに切り替わる)


 いいねえ! あの強烈な右ボディーブロー! まさに光速パンチだったね!
 ああいう決定的なシーンも、ウィットさえあればくぐりぬけることができるっていういい見本だったね!

 さぁて、ここでPRだ。
 このコーナーをまとめた『ウィッキーのウィッと一杯「こんなときにとっさの一言」』が本になったよ。
 これさえ読めば、口下手なアナタもウィットの達人!
 さっそく購入して会社で披露してみてほしいな!
 ちょっと中身を紹介すると、最初の50ページは「強烈な右ボディーブローの放ち方」だね。
 ワオ! ウィット溢れた会話には正確かつ強烈なボディーブローが不可欠だからね。
 写真とカラー口絵つきで、解説しているよ。
 じゃあ、CMだよ! チャンネルを変えたら寿司50人前が届くから変えちゃだめだよ!

(…………)

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 お知らせ

 ウィットの意味をはきちがえているよという抗議は受け付けていません。


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 博多での休日は、基本的には朝早く起きてビジネスホテルの部屋で仕事。
 それでも、息抜きにメールを書いたり、Bbsのレスをしたりして、のんびりペースで過ごす。
 結局15時過ぎに、散策と食事がてら博多駅周辺へ。朝から何も食べていなかったのだ。
 駅の横にある建物に紀伊国屋書店と新星堂があったので、とりあえず入ってみることにする。
 歩いている途中に大きな書店とCDショップがあると、とりあえず入ってしまうのだ。
 紀伊国屋書店には文芸誌の「すばる」が置いてあって、江國香織と辻仁成の「左岸」と「右岸」の新連載がはじまっていた。
 ついにスタートしたんだと思う。
 しかも主人公が住んでいる場所が福岡らしく、その紹介のPOPがあって目立つような陳列をされていた。単行本まで待つつもりなので、とりあえずぱらぱらとだけ見てその場を離れる。
 階下の新星堂では、CDを1枚とDVDを1枚買う。
 CDはペット・ショップ・ボーイズの『リリース』、DVDは『僕たちのアナ・バナナ』。
 ペット・ショップ・ボーイズは個人的にはもうかなり好きなのだ。
 大学1年生だったときにはまって以来、ニューアルバムが出るたびに必ず購入しているアーティストだし。
 今回は発売しているのを知らなくて、売り場でふらふらしていたらいきなり聴き覚えのあるニールの声の聴いたことのない曲が流れていて、(ええ?)と思ったのだ。
 それで探すとニューアルバムがそれなりのスペースで展開されていて、すぐに手にとってしまう。
 しかも視聴もできるようになっていたので、1曲目の「HOME AND DRY」を聴いてみる。相変わらずのよい曲。
 帰って来てからも何度も聴いているのだけれど、相変わらずニールの声とメロディーはいいと思う。しかも今回は地味目なミディアム・テンポの曲中心で、肩の力を抜いて聴くことができるようなものになっていて。
 そして、店でもらってきた小さな冊子(新作を出したアーティストのインタビューなどが収録されているCDショップによくあるやつ)のペット・ショップ・ボーイズのところを読んでいると、こう書かれていた。


 そして、その独特の心地よさで知られてきたニール・テナントのクールな歌声が、科学的な声の分析により聴く人の心を和ませる力に富んだ声、いわば”モスト・リラクシング・ヴォイス”であることが新たに分かったのも話題だ。(RPM9ページ:文/小林 千夏)


 うわ、そうなんだと思う。すごく好きな声の一人ではあったのだけれど、そういう声の持ち主だったんだ……
 もちろん、そうであろうとなかろうと好きだということには変わりはないのだけれど、改めてそういうことを知ってみると、やっぱりそういうものなのだなと納得。
 確か森本レオもそうだってどこかで聞いたよなと思う。癒し系の声。

 DVDを買ったのは、今日の夜におそらく時間ができるだろうなと思い、そのときに映画を見たいなと思ったため。
 そして、『僕たちのアナ・バナナ』は以前から見てみたいなと思っていたのだ。
 それで購入する。

(ノートパソコンで)見終わってからこのDaysを書いているのだけれど、これは個人的にはかなり好きな感じの映画だった。
 重いテーマの映画もハリウッドの超大作ももちろん好きだけれど、個人的にはやっぱりある種のラブ・コメディのような映画が好きなのだなと改めて思ってしまった。
 笑わせて泣かせるようなやつ。ウィットに富んだ会話と、小さなオチの連続。そういうやつ。映画館では、2週間くらいで終わってしまうのが常であるような映画。
 これは、幼馴染みの男2人女1人が16年ぶりに再会することからはじまる物語なのだけれど、男はそれぞれカトリック(プロテスタントではなくて)の神父とラビ(ユダヤ教の聖職者)になっており、女はエグゼクティブ・レディになっている。
 そして3人の立場や信仰等もからめた3角関係の物語で、シナリオが巧いという感じ。
 主要な人物の一人ジェイクを演じているベン・スティラーは映画『リアリティ・バイツ』の監督をしていた多才な人物だし、もう一人のブライアンを演じるエドワード・ノートンはこの作品の監督をしている。
 ジェナ・エルフマン演じるアナもとても魅力的だったし(やっぱり大好きな映画のひとつ『エドTV』に出ていた女優)。肩肘張ることもなく媚びることもない人ってすごいよなあと、改めて思わされるような。
 
 こういう、予想以上にしっかりと作られているのにおそらくそれほどたくさんの人が見ていない映画もたくさんあるのだろうなと思う。
 そういう作品(しっかりと作りこまれたラブ・コメディ)が好きな人になら、間違いなく薦めることができる映画。また今度見よう。

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 お知らせ

 やっぱり、笑わせて泣かせるような物語っていいよなあと思うのです。


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