Sun Set Days
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2002年04月26日(金) インターチェンジの駐車場+夜の散歩

 昔、あるインターチェンジを出たところにある駐車場で、人を待っていたことがある。
 その夜、僕は長い自動車での旅行の途中で、昔からの知人が迎えに来てくれるのを待っていた。
 その町ははじめて訪れる場所で、社会人になった学生時代の知人が暮らしているところだった。
 その友人が迎えに来ることが出来るのには数十分の時間がかかるとのことで、それで僕は駐車場に車を停めて、ぼんやりと車の中で待っていたのだ。

 その駐車場は半分以上埋まっていて、僕はいったいどこから来るどういう車がインターチェンジに車を停めたままでいるのだろうと考えていた。
 友人同士がドライブに行くときに、インターチェンジで合流して、片方が車を停めていくなんてことがあるのだろうかなんてことを思っていた。

 長い距離を運転していたせいか、随分と身体が疲れていて、窓からぼんやりと外を見やりながら、ときおり目ぶたの上から指でぎゅうと強く押してみたりした。そうした後で外灯の明かりを見ると、淡い光が滲んで見えるのだった。

 それは11月上旬だったから、外はもう随分と寒かった。一度車から出て大きく伸びをして、白い息を吐いてみたりもした。なんだか落ち着かなかった。「ふぅう」って思った。そこは地方都市だったから、見上げると幾つかの星が見えた。

 雪が降ればいいのにって、ちょっとだけ思った。
 雨でもいいかなとも。
 そして、途中の高速道路では雨が降っていたんだったと思い出した。もう忘れていたと思うと少しおかしくて、それからタイヤが夏タイヤだったことを思い出して、雪はやっぱり降らない方が全然いいと思い直した。

 再び自分の車の中に入って、駐車場に新しい車が入場してくるたびに、顔を上げて、それが友人かどうか確かめた。何台かは違って、何台目かにようやく友人がやってきた。
 はじめて見る白い車、友人が運転しているのが見えた。

 友人は、駐車場をゆっくりとしたスピードで回ってきて、僕は運転席のドアを開けて外に出た。
 友人に向かって手を挙げる。

 友人はゆっくりと僕の方まで車を回し、停まった。
 そして運転席の窓をおろす。

「ひさしぶりー」
「ひさしぶり」

 って、言いながらもなんだか笑い合ってしまう。久しぶりに会うとどうしてかぎこちないのだ。

 幾つかの言葉を交わした後、僕は友人の車の後について、友人のアパートを目指した。ゆっくりと、片側2車線の道路の左側を進んでいく。僕は離れないように運転していく。
 見知らぬ町。
 畑と、郊外型の専門店が目立つ閑散とした町並み。どちらかと言うと緩やかに時間が流れているように見える場所。
 目の前の車を運転しているのは大学時代の友人で、当時は2人とも車もなくて、それが思いがけない場所でこうやって前後に連なって車を運転しているのだ。
 お互いの間のたくさんの奇妙でやっかいな変化が、その微妙な距離に集約されているみたいで、なんだか不思議な感じだった。

 そのときの情景は、どうしてか結構鮮明に覚えている。
 今日新幹線に乗っているときに、窓の外に地方都市の広い間隔で続く電灯の明かりを見ていたら、そのときのことを思い出したのだ。
 不思議と、もうずっと思い出すこともなかったのに。


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 25日の深夜(厳密に言うと26日の1:00-1:45くらい)に、夜の散歩に出ていた。
 26日に仕事が終わったら大阪を離れることがわかっていたから、ちょっと周囲を歩いてこよう、散歩してこようと思ったのだった。
 別に特別好奇心旺盛だとかそういうわけでは全然ないのだけれど、こういう出張なんてもうしばらくなくなってしまうのだから、だったらそのときにいろいろと歩いてみたいと思うときがあるのだ。
 今回のロードには休日がなかったので、日中そういうことができず、ということで夜の散歩。

 心斎橋周辺から東急ハンズを超えて、結構歩いた。
 大通りも、細い路地も、いろいろと。
 深夜なのにまだまだたくさんの人がいて、いろんなところから笑い声やバイクの音や、カラオケの声のような音が漏れ出ていた。
 繁華街も近かったのだ。
 あんまり遠くまで行ってしまうと戻るのにも結構かかるだろうなと思ったので、20分ほど歩いたところで引き返してみた。
 少しだけ眠たかったけれど、気持ちよかったと言えば言えた。
 タクシーが何台も走っていて、幾つかの飲み屋はまだ店を開けていて、この辺が大阪らしい場所のひとつなのかなとなんとなく思っていた。


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 お知らせ

 ロードが終わり、なんだか不思議な気がするのです。なんだか。


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