Sun Set Days
DiaryINDEXpastwill


2004年04月23日(金) ナイター

 今日は休日で、後輩たちと5人でナイターを観に行った。
 観に行ったのは横浜−広島戦で、別にどちらのファンというわけでもなかったのだけれど、それでも段々とよい時期になってきたことだし、ナイターにいきたいよねという話から出かけることになったのだ。
 一人なんて、野球には全然興味がないのだけれど、外で飲むビールはおいしいだろうなという理由での参加。もちろん、そういうのも当然ありだとは思うのだけれど。
 18時プレイボールで、15分ほど前に球場近くの駐車場に後輩の車を停める。それから当日券売り場を探して球場の周りをぐるりと回り、外野指定席を購入する。どちら側でもよかったのだけれど、やっぱり横浜市民だしということで横浜側を購入。
 金曜日のナイターということもあってか、球場の中は(とりわけベイスターズ側は)思いがけず混み合っていた。スーツ姿の人も多く、その上にベイスターズのユニフォームを羽織っている。また、おそろいのはっぴを着た応援団の姿も見える。声援や鳴り物の音がすでに飛び交っていて、まだ少し明るい空を、やけにまぶしい照明が照らしていた。

 野球場で野球を見るのは3回目で、その独特の雰囲気が楽しく感じられた。異様とも言えるくらいの数のビールの売り子さんたちがてきぱきと動き回り、電光掲示板はやけにオーバーな演出でバッターボックスに立つ選手たちの紹介を行っている。座席の感覚が狭く窮屈な外野席は、たくさんの人で犇めき合い、独特の熱気に包まれていた。

 僕ら5人ともまずは飲み物(ビール)を注文して、それを飲みながら試合を観戦する。焼きそばやお菓子などを食べながら、少し肌寒いけれども悪くはない天気の下で見るナイターは、春の訪れを感じさせて気持ちがいいなと思っていた。
 そして、せっかく観に来ているのだから楽しまなくては損だということで、周囲の人たちと一緒に手拍子をして、「かっとばせー金城」などと叫んでいた。みんなで声を出して応援しているだけで、なんだか楽しくなってしまうというのはやっぱり生の迫力というやつなのだろう。

けれども、応援むなしく試合は9対4と横浜が負けてしまい、しかも部屋に帰ってきてからネットで確かめてみると、なんと今日の敗戦で最下位になってしまっていた。
 デイビーという外人のピッチャーが自ら3ランを打つなど、ホームラン攻勢でタイムリーに得点を重ねていた広島の方がリズムがよかったのは確かだし、横浜には拙攻が目立っていた。
 それでも応援している方が負けるのはやっぱり残念なことで、駐車場までの帰り道、喜びを爆発させている広島ファンを見ながら、なんとなくちぇっという気持ちになっていたりしたのだった。

 帰りは、明日誕生日のメンバーがいたり、数人が社内の試験に合格していたことを祝って、すき焼きを食べてきた。野球場でも軽食を食べていたのでそれほどたくさんは食べることができなかったのだけれど、それでも鍋物は一人では食べることができないのでおいしく食べていた。
 もちろん、様々な話をしながら。


―――――――――

 野球と言えば、『ホリーガーデン』の「12夜の電車」に、果歩が一夏に三度くらい野球を観に行くという場面がある。バスケットにお弁当をつめて、一人で観に行くところだ。僕は今日5人で行ったのだけれど、試合の途中にそう言えばというような感じで、その場面のことを思い出した。振り返ったり立ち上がったりして見回してみても、一人で来ている果歩くらいの年齢の女の人はいなかった。たいていの人が、誰かと一緒に球場に来ているように見えた(それが2人であれそれより多い人数であれ一人で来ているように見える人はいなかった)。

 けれども、それでも果歩が一人で球場に行っているイメージはやっぱりとても強く、納得することができてしまうのだった。だから僕は外野に比べると閑散としている内野席の方を見つめながら、たとえばあの辺りにいるのだろうなとぼんやりと思っていた。一人で、淡々と、桃を食べながら野球の試合を見つめ、球場の美しさを好ましく思っている果歩がいても全然おかしくはないよなと。
 もちろん、あの場面での球場はおそらく昔の所沢球場だったと思うので横浜スタジアムではないのだけれど、それでもかつて繰り返し読んだ物語はそんなふうにスイッチで繋がっている。当たり前のように思い出されて、目の前の現実の光景にイメージが被さってくる。そして、自分が果歩や静江と同じくらいの年齢になっていることに驚きながら、あの作品の持っていたある種のトーンのことを、久しぶりにゆっくりと考えていた。


―――――――――

 お知らせ

 球場では、めずらしくビールを2杯飲みました(大きめの紙コップのやつ)。


Sun Set |MAILHomePage

My追加