Sun Set Days
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2004年04月25日(日) エンジン

 今日読んだビジネス雑誌に大創産業社長の矢野博丈氏のインタビューが載っていたのだけれど、その中にこういう文章があった。


 答 この前、初めて既存店売上高の前年比を見たんですよ。それまでは見たことなかった。てっきり87%ぐらいだと思ってたから。そうしたら、105%だったんですね。もう5年くらい寿命が延びましたよねえ(笑)。でも来年こそは本当に87%が当然、というつもりでいかないといけませんね。
 問 そういう経営指標はあまりチェックされないんですか。
 答 見ないですね。社員数、店舗の数、倉庫の数、商品点数…社内に誰一人即答できる人間はいませんよ。そういうものを見ないで済む幸せですね。僕自身も経理の数字は15分しか見ない。しかも、売上高とか利益とかは飛ばしてね。見るんは預金と借金の額だけです。なぜかと言うと、数字は見れば見るほど欲が出るんですわ。


 実際にこれが本当であるはずはなく、インタビュアーも書いていたように「話術」の一つだと思われるのだけれど、煙に巻くというか、飄々とこんなことを語るのなんてたいした人なのだろうなと思う。

 たとえば、上のインタビューの部分ならば、

 でも来年こそは本当に87%が当然、というつもりでいかないといけませんね。そういうものを見ないで済む幸せですね。なぜかと言うと、数字は見れば見るほど欲が出るんですわ。

 というのが実際のところだと思う。常に既存店売上高の前年比が割れてしまう=顧客に飽きられてしまうことに対する危機感があり、そうならないための現状を否定する手を打ち続けていく。もちろん、そのためには様々な数字やデーターが必要なはずで、そういったものを見ないで(分析しないで)済むとしたら幸せだろうと言いながら実際には詳細に検討している、というのが本当のところなんじゃないだろうか? 見た目が田舎の農家のおじさん的なところがあって、上記のようなことをいかにも言いそうなところもまたうまいところなのだろうなと思う。

 また、そのインタビューの中で、「21世紀の小売業は自己否定力が大事だと思うんです。」という言葉があるのだけれど、それは確かにその通りなのだろうなと思う。もちろん、それは21世紀だけではなく、22世紀だって、そして20世紀だってそうだったはずなのだけれど、自己否定力の強さと継続性と言うのがこれまで以上に企業の明暗を分けることになってくるはずだ。
 それはいわゆる改善と改革の話になってくるのだろう。自己否定というのは改革に繋がる。自らのこれまでの成功体験を否定し、まったく新しい仕組みやシステムを0から作り上げていく。そうすることによって、効率や成果は10倍にもそれ以上にも変わる。逆に、改善と言うのは現状の流れの延長線沿いにあるはずだ。現状のちょっとしたブレーキになっている阻害要因を取り除き、効率を数%あるいは1割くらい向上させる。けれどもそれでは頑張っても150%くらいにしかならない。だからこそ自己否定力を磨き、継続してそれを行わなければ大きな成長は見込めないということになる。
 確かにそう考えると、改革するための自己否定力は競争力の源泉とも成り得る鍵となるものだ。
 けれども現実的な部分で言うと、やはり改善と改革とは両輪なのだろうなと思う。
 何でもかんでも常に0ベースで改革しようとすると日々の業務は間違いなく回らなくなる。だからこそ、日々の業務をこなしていく中で、よりそれをスムーズに進めるためのちょっとした改善を繰り返していくことが重要になる。けれども、そこで肝となるのが、改善だけに終わらずに問題意識を持ち続け、改革のためのアイデアを考え、問題点を突き詰めて考えてみるということを継続することだ。そうしてうまく改善と改革の両輪が回り始めると、オペレーションや仕組みに加速度的にスピードが出てくる。つまり、改善と改革とは問題意識というエンジンによって動かされる両輪であり、エンジンを動かし続けることがとても大切なことになるということだ。

 個人的な話になるけれど、これまで日々の業務で店長になったらと思うことが結構たくさんあった。店長になったらあれもやってみたいとか、これもやってみたいと繰り返し思っていた。あるいは、この問題について考えていたことを実行に移してみようというように。
 実際に来月には店長になるわけだけれど、最初のうちはなれずに苦労することと思う。思ったようにはなかなかできないだろうし、悩んでしまったり困ったりしてしまうことも多々あるだろう。
 けれども、常に問題意識だけは失わずに、頭で考えていたことを一つずつでいいから、小さなことからでいいから実行に移していきたいと思う。結局は実行できたことだけが事実だし、誰の目にもわかる結果となるわけだし。店長をサポートする副店長としての一年は、昇給の査定では普通よりもひとつ上の評価をつけてもらうことができて、なんだか逆に申し訳ないような気持ちになってしまった。もちろん頑張ったし、評価は嬉しかったのだけれど、もっともっと目指すべきレベルで、成果を出していかなければならないのだろうなと思っているからだ。
 もちろん、プライベートな部分も大切で、そのバランスをもっとしっかりと取ることができるようになりたいとも思っている(言うまでもなく、人生は一度きりなわけだし)。
 ということで、バイタリティに溢れた密度の濃い時間を過ごそうと、自分のリズムを気持ちよく感じることのできる時間を過ごしたいと、強く思ったりするのだ。


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 お知らせ

 インタビューによると、いまダイソーには200円以上の商品が1400〜1500アイテムあるそうです。


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