【読書記録】歌野晶午「女王様と私」 |
ストーリー:典型的なオタクである数馬が知り合った女の子は・・・。
どういう傾向の人なのかしら?と思って引き続き借りてきた、歌野作品。これを読んで、「あ、なるほど!」と思いました。何気なくさらりと書いてあることが伏線で、それには必ず「ん…?」と引っかかるものを感じるけれど、それが何を意味しているのかまでは読み取れない、そんなもどかしさと”何が”を求めて読むのがこの著者の作品傾向のひとつではないかと感じました。少なくとも、葉桜〜とこの作品の共通点はそれだと思います。わかるのにわからない具合が巧妙。 それにしても、半ばあたりでそういう展開ですか!と放り投げたくなりました。苦笑 私は、追い詰められた人間がどうやってそれを回避するのかが楽しみなので、”ミステリーなのにトリックはSF”だったりするようなタイプの本がお好きではない方には、あまりお勧めできません。半ばまでの展開は、本当に登場人物にひっぱられてどう終結するのかが楽しみだっただけに、いくらエピローグをつけてもこういう展開はとても残念でした。「葉桜〜」が評価されたのは、こういうところの改善も含まれているのかなとも思ったこの作品。 ところでこの作品。よく考えると、設定の段階で結構嫌悪感を持つ方がいらっしゃるかもしれません。お気をつけくださいませ。 NO.29■p392/角川書店/05/08
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2007年12月23日(日)
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