【読書記録】辻仁成「冷静と情熱のあいだ Blu」

前回読んだときは、たしか辻さんの本から入った覚えがあったので今回は江國さんの本を読んでから読もうと思って、一緒に借りてきました。
とても情熱を持って読めたのがあおいの冷静と情熱のあいだ。そして冷静になりながら読んだ順正の冷静と情熱のあいだ。順正はいつも心のどこかであおい、あおいと彼女を探していたのに対して、あおいは過去のある種の封印したい記憶もあり、順正のように常に彼だけを求めていたわけではないと思う。けれど愛していた順正に対する思いそのものはずっと心のそこにあって忘れられなかった。恋愛の形って目に見えるものが全てではなく、言葉はどこか頼りない。そんなことを二冊を通して思いました。
さて、Bluとしてはとても細かく日々がつむがれていて、順正のアクティブさが伝わってくる内容でした。自分の目指すものが見つかった順正のまっすぐに仕事に取り組む姿勢、恋人の芽美に対する思い、仕事場での同僚や先生との関係。あおいが過去から抜け出せずにバスタブに浸っていたのに比べると、順正の一日の密度は多分とても高かったのだろうなと思います。傷つけあって別れる事しか出来なかった二人だから、お互いに今までとは相反するまったく新しいパートナーを見つけて、彼・彼女のよさを知り、相手から学んで、そして過去に戻る。Rossoでもそうでしたが、読み取れなかった事が読めるようになって、Bluではぞくりとするような文節に出会えたりするのがとても印象的でした。前回も同じようなところでぞくっとしたけれど、今回はまたちょっと違うところにアンテナが引っかかり、そのあたりはとても辻さんの描き出す・思っていらっしゃる内容に惹かれるところがあります。

たしか、「冷静と情熱のあいだ」としてお二方の内容が一冊になった本が出版されていたと思うので、気が向いたら探してまた数年後に読み返したいなと思います。
NO.002■p262/角川文庫/01/09

追記:映画版を見たのですが、あまりのあおいのぴったりさに驚きました!きりっとした感じがすごくあおいですねvだけど、それぞれに対するモノローグが見事にカットされていたのは残念でした;enyaさんも素敵です♪
2008年02月20日(水)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン