日々是迷々之記
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2001年10月25日(木) 押し入れ魔窟探索記

ふと部屋を見るとフトンがころがっていた。しかも二組。ひとつは私のフトンでもう一つは新品のフトンだ。ダンナさんのフトンが10年モノでへたりきっているので勇気を出して購入したものだ。

恥ずかしながら告白すると、私は結婚してこの家に越してきてからフトンを押し入れに入れたことがなかった。タンスがないのでとりあえずプラスチックの三段引き出しを購入し、それをタンス代わりに押し入れに突っ込んでいたのでフトンの入る隙間がないのだ。まぁ、毎日畳むようにはしていたけれど…。

冷静になって押入の中の洋服を見てみると、とても着られないようなモノが満載だった。体操服、へたれきったTシャツ、一番体重が重かったときに購入したスーツなどは直視できないほどにでかい。よし、整理しようとたちあがった。洋服類を整理すれば、二組のフトンを仲良くニコニコと積み上げるスペースくらいはあるはずなのだ。

まず、仕分け。一応ブランドモノは段ボールにたたんで入れる。オークションに出品するのだ。穴のあいた靴下、へろへろのTシャツなんかは、大きなポリ袋に入れて雑巾代わりに使うためにためておく。自転車の整備、換気扇の掃除なんかのときに役に立つのだ。ここで頭を抱えてしまった。オークションにも出せない、雑巾にするのもなんだかな〜というモノが多いのだ。深くは語らないが思い出のシャツとか、以前勤めていた会社の制服など。制服なんかは違う意味でオークション向きかもしれないが、そういうことをするのもナンなのでとりあえずクリーニング屋さんに持っていくことにした。

さて、これで四分の三は片づいた。後は、モノ達である。これがまた洋服以上に取捨選択が難しい。おおかたはカナダ時代にかき集めた書類で、航空券の半券、マクドのオマケのホッケーカード、写真、などなど。全部見ていたら日が暮れるので、適当なコンテナボックスに押し込んで「思い出箱」と名付けた。

最後にほんとにどないしょうというモノが出てきてしまった。何と、1999年のバレンタインデーのお返し、なのだ。もちろんダンナさんからである。そのパッケージを見た瞬間、その頃の記憶が蘇る。わたしは非常に嬉しくて、ビニール袋にしまい、それをなおかつ、しまい込んでいたのだ。何か特別な時に食べようと思って。そして忘却の彼方に追いやってしまい、2年の歳月を経て、今蘇ったのだ。すまない気持ちとこわい気持ちで、開けるかどうか迷ったが、やはり中を見ないというのも申し訳ないので開けてみた。中身はラベルによるとマシュマロとホワイトチョコレートのようだった。

勇気を出して、包み紙を破った。中にはビニールの巾着袋に入ったマシュマロと、チョコレートが鎮座していた。一目でそれと分かったのでそれほど恐ろしい形状にはなっていなかった。しかし、じーっと見ると身の毛がよだってしまった。マシュマロは表面が数の子のように無数のつぶつぶで覆われている。色こそ白いが、表面がベルベットのようにフサフサしている。チョコレートはホワイトチョコレートのくせに、きなこのような色で、表面は乾期の砂漠のようにひび割れている。

「ああ、済まないねぇ…。」とつぶやき、元あった袋に静かにしまった。遠い所で働いているダンナさんに懺悔をしつつ。

何年かに一回しか大きな掃除をしないからこんなことになるのは間違いないのだが、次の掃除は早くても年末だなぁと反省の足りない私は思ってしまった。

今日の教訓:食べ物は覚えているうちに食え。


nao-zo |MAIL

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