日々是迷々之記
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2001年12月02日(日) はじめてのおつかい ヒヤアセ編

駅までダンナさんを見送ったあと、私はコートを買うために街へ出た。実は、コートを買うのは12年ぶりくらいである。高校へ入学したときに紺色のダッフルコートを購入して、それっきりだ。その間、ダウンジャケットや、マウンテンパーカーなどを買ったことはあったが、趣味のせいかアウトドア系に偏っており、普通に町中で着るようなジャケットは持っていなかったのだ。

で、どうやって冬を越していたかというと、「タケノコ方式」を取っていたのだ。これは、気温に合わせて服を重ねていくという合理的かつ、温度調整がしやすい方式だ。例えば、まず、Tシャツ、ネルシャツ、トレーナー、マウンテンパーカーを着る。それで寒かったら、トレーナーをセーターに、もっと寒かったら、セーターをフリースに、そして、最後はマウンテンパーカーをダウンジャケットにと変えていくと、大体マイナス10度くらいまでは大丈夫なのだ。

しかし、30才を目前にして、だんだんとムリが出てきた。入院したのがきっかけで、痩せなさいという至上命令が出てしまい、幸い、去年の同時期より15キロほど痩せた。しかし、体型が変わってしまい、前に着ていたものがしっくりこないのだ。ついでに何故か足まで小さくなっているし。

ということで、12年の沈黙を破って、コートを買うことにした。本当はAVIREXあたりのアーミー色のナイロンコートでフードに白いフサフサがついているようなのが欲しかったのだが、とりあえず普通っぽい路線を固めることにして、オーソドックスな黒のピーコートにすることにした。

まず、悩んだのはどこで買ったらいいのか?ということだ。百貨店のヤングレディスファッションのフロアでみたら、高校生、大学生くらいのワカモノがパワーを持て余して、充満している。コートも、少し違っていて、やたらと肩幅やウエストがシェイプされているのに、手が長い。素材も、アンゴラやカシミアが入っていて、手触りはいいのだが、襟のラインがてろんとしていてかちっと決まらない。華奢な体型ならこれでいいのだろうが、私はどかんとした印象の人間なので、あまり向いていないようだ。そそくさと別のフロアへ移った。

そこはヤングミセスのフロアというところだった。さすがに女子高生もいないが、欲しいなと思えるコートもなかった。肩パット命!だけど、Aラインでスタンドカラーのてるてる坊主のようなコートばかりなのだ。

わたしはそこいらのベンチに腰掛けてぼんやり考えた。30才前くらいの人ってどういう範疇の店で買い物をしたらいいのだろう?普段○ニクロか○ンベルでしか服を買わない生活をしていたから分からなかったが。

もうコートはいつでもいいやと思いつつ、よく行くファッションビルをとりあえず見に行った。そこの入ったところに、私が思うピーコートが飾ってあった。とりあえずと思って入ってみた。サイズも3種類あり、かちっとしたオーソドックスな仕立てで、襟を立ててもしっかりしている。うむうむ、これなのだ。肩に(名前を聞いたけど忘れてしまった)ボタンと小さなベルトが付いているのも気に入った。

その店は虚無僧のような名前で最後に「BOYS」と付いているので子供服屋かなと思い、立ち寄ったことはなかったのだが、案外普通にいいものを売っている。しかも12年前に買ったダッフルコートより安いのだ。薄手のマフラーも購入して店を後にした。

しっかりとしたコートだから、また次のコートを買うのは12年後かなぁとぼんやり考えてしまった。やはり質実剛健、丈夫で長持ち、そして自分がピンと来たものに嗜好が向いてしまう。

これだから、いつも同じような格好ばっかりになるんだろうなぁと思う。世の中にはいろんなものが溢れているけど、本当にピンと来るのはほんの一握りだからだ。


nao-zo |MAIL

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