日々是迷々之記
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2005年08月30日(火) |
生きていくために引いた線 |
大阪は朝から涼しかった。久しぶりにカブでなく大きい方のバイクで通勤した。加速がいいから気持ちがいい。しかしいい気分なのはホンの数十分で、会社は居心地が悪かった。Aさん(43歳・女性)の機嫌が悪いのだ。
いつのまにか外は雨。事務所の中も不穏な空気だ。夕方ぼちぼち帰る準備をしていたら、いきなり、「今日の午前中寝てたやろ。」と来た。今日の午前中は検数といって、数をかぞえる仕事をしていた。例の、2,3,2,3で10というやつだ。手でめくりながら数えているので手は動いている。それでどうやって寝ろというのだ。やんわりと寝てません、手を動かしながら寝ることはできませんのでと、伝えた。するとテキは無言になり、今度は今日何部仕上げたか訊いてきた。普通に何部と答えると、「仕事、遅いわ。スピード、ちょっと問題やから○○さん(人事の人)と相談させてもらうわな。」と来た。
その物言いにさすがに苛立つ。するならすればいいし、わざわざ私にそれを予告して何になるのだろうか。私は分かりました、とだけ伝えた。やりかけの仕事があったので、どこに置けばよいのか尋ねたら、無言であごをしゃくって帰れという仕草。その瞬間終業ベルが鳴った。
ふざけんなよ、クソババアと思いつつ、にっこり笑って失礼しますと言ってその場を離れた。
激しくいらいらしながら着替えて病院に向かう。今日はメンタルクリニックで薬をもらう日だ。途中で涙みたいにはらはら雨が降ってくる。むかむかしつつも涙が出そうだったが、泣かない。
雨模様のせいか、病院は珍しく空いていた。ほどなくして名前が呼ばれたので診察室に入る。先生はいつものようにやわらかい物腰で私の話に耳を傾ける。母親の言動、そして今日の出来事について話してみた。そしてAの人となりを表すエピソードとして、口に出すのもはばかられるが、「なあ、何で子供おれへんの?作ってるのにできひんの?それともせえへんの?」と下卑た質問を投げかけられて言葉に詰まってしまったことも先生に話した。(しかし、字にしてみると本当に下品だ。)
先生は、その人は確かにちょっと立ち入りすぎだが、普通の人同士でも10人いたら5人は気が合わなくて当たり前だと言った。そんな中では「当たらず、触らず、従わず」の精神でやってゆけばいいらしい。「仕事の現場では仕事をこなすだけでもう評価は80点になっているのだから、それだけで十分ですよ。それ以上のことはしなくてもいいです。」とのこと。そこからの20点は人によって評価が違って、人の輪とか、仕事の成果とか、はたまた扱いやすいかどうかなど、色んな評価方法があるから、それは気にしなくていいらしい。「仕事をしただけでもう80点」その言葉はわたしをほっとさせてくれた。
そうだ線を引こう。帰り道でバイクにまたがってそう思った。たいがいの人は私のことを「おっとりした人」だと思っている。確かにその一面もあるが、それだけではない。しゃきしゃき動くこともあるし、怒りを表すこともある。世の中には、そういう「おっとりとした人」など一見強い意志を見せない人を踏み台にして自分自身を強く正しいように見せようとする人たちがいる。
会社のAがそうだ。本人は姉御肌でざっくばらんなつもりのようだが、私には言動に品がなく、思慮が浅くてその場の感情で物を言い、しかも「私は女の人ってちょっと苦手やねん。」「よく相談をもちかけられるねんけどな、」「若いときはやんちゃしたけどな、」などの言動に見られるようにナルシストの傾向がある。まさしく私が苦手なタイプでこうは絶対なりたくないタイプでもある。
このように軽薄な人というのはわりとどこにでもいて、私のように一見とろそうな人間をおとしめることによって自分の偉さを誇示してくる。
そういう人間は、反逆すると水をぶっかけられた犬のようにおとなしくなることが多い。はむかうとは思っていないからだ。
ここらへんで線を引こうと思う。黙って観察するのはここまで。ここからは私のやり方でやることにした。まず派遣会社の担当者に電話。派遣先の社員の態度があまりにも失礼なので仕事を一所懸命とりくめないと伝える。担当者はびっくりしていた。重ねて仕事内容とその他の人たちとは円満にやってゆけていることを伝えた。前述した「子供を作る作らない」の話はその担当者もちょっと引いていた。まぁ、若い男性だから女の世界のそういった開けっぴろげな話には免疫がないのだろう。今週中に一度訪問するので、とりあえず今までどおり勤務してくださいと言われた。
私は別にやめる気はない。Aがその品のない口を閉じてくれればそれでいいのだ。私はおっとりしたただのデブキャラではない。
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