日々是迷々之記
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2005年11月09日(水) |
「キッパリ!」ポジティブな生き方 |
最近ブックオフにちょこちょこ行っており、目に付いた古本を買い一日一冊くらいのペースで読んでいる。安いのでちょっと気になったらさっと買うため、家に帰って読み込むと「あれれ?」と思うこともたまにあり。今日はそんな本について書こうと思う。
「キッパリ!」(上大岡トメ著)という本である。ジャンルとしては自己啓発本だと思う。が、よくある「そのままの君でいいよ。」とか言われてもそれでいいわけないやろが、とか思う方なので、この手の本は傍観者的視線で見てしまう。その点、この「キッパリ!」はどうかというと、もう一つ自分から遠いところにある感じがした。
サブタイトルは「たった5分間で自分を変える方法」である。それらの方法は、半分が子供のしつけ的内容(靴をそろえるとか)、もう半分は私に言わせれば自己欺瞞だと感じた。
しつけ的内容に関してはうなづくところもある。靴をそろえる、洗面所の鏡を磨く、今日出したものは今日片づけるなど。まあ、実際はそうしているし。しかし問題は同居人がいる場合は自分のことだけやっていても全体の統制は取れない。その辺はどうなんだろと思った。他人の後始末も自分でやるのか、それとも従わせるのか、自分の分だけやればいいのか、いずれにしても「キッパリ!」とは行かないと思うのだが。
しかしまぁ、この辺はまだかわいいほうで、自己欺瞞的部分にはこんなことを書いたら著者の人間性まで疑われるのではないかという心配をしてしまう記述がいくつかあった。
何かを話すときに、「波風を立てずに嘘をつく。」んだそうな。「最低でもひとつは本当のことをおりまぜて話す。」そうすると「後ろめたさが少なくなる。」とのこと。んんんー、いいのか、人付き合いってそんなことで。それって水商売の話術ではないか。客が女の子に「昼間何やってんの?」とか、興味もないけどまあノリで…というレベルの会話ならそれで十分だと思う。
しかし、友達、家族相手にそりゃあかんのではないだろうか?相手は知りたいから訊くんだろうし、それにその手の不誠実な答えって…。答えたくなければ、「言いたくない。」って言えばいいんではないだろうか。その方が「後ろめたさ」は少ないと思われるのだが。
他にも、携帯のメールが来て返事を打つのがめんどくさかったら、とりあえず「うん」だけ書いて送るとか、「嫌ならやらなきゃええやんか。」と思わせる部分が多々ある。この作者のヒトは「なぁなぁも人付き合いのうち。」みたいな考え方なんやろなぁと思った。
携帯メールにしてもパソコンのメールにしても、めんどくさかったら返事しなければいいんではないだろうか。めんどくさいと思う時点でその話題には緊急性がないから後でいいやと思ってるわけだし。レスするのは後に会ったときでも、気が向いたときにでもいいではないか。とにかく「うん」てのはやる気なさが全面に出ていてまずいのではないか。返事が来ないことよりも数倍腹立つんだが。
という感じでこの「キッパリ!」という本では私は変わらなかった。でもまぁ、これが現代女性のポジティブな生き方ってやつかな、とは思う。若い男性の友人が、「女性が強くなったとか言うけど、キツくなってるだけっすよねー。」とか言っていたのと何かシンクロする。弱いより強い方がいいけど、嘘とかなぁなぁで渡り歩いてもつまらんだろうが。
というわけで、この本は「古本屋に売りに行く本」の箱に入れられることとなった。さらば。
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