時々日記な雑記帳

2006年10月22日(日) ss...13

***

幾度も
キミの夢の中に出てきたあたしは

どんな人だったんだろう


時には嬉しそうに笑って
時には酷く冷たくて
時には妖艶な笑みを浮かべて
時には今にも泣きそうな顔をしている


幾度も
あたしをその夢に呼ぶキミは

いったいどんな想いを抱いているんだろう


何度も 何度も

あたしはキミの夢の中に現れて

残らない温もりだけを置いて
去っていく


香りも 体温も
表情も 声も

すぐ 傍にあったかのように

でも

目覚めれば

自分の気配しかしない部屋で

何処にも 夢で見た痕跡など無くて


少しだけ浮かび上がる虚無感が

嫌に響く耳鳴りみたいに
後に残るんだろうか


夢は
記憶を繋げたモンタージュ

脳が見せる 過去の断片


でも

その夢を見て

時に嬉しくなったり
時に勇気付けられたり
時に心配になったり
時に落ち込んでみたり
時に愛おしくなったり

するのだろうか


夢の中のあたしは
どんな人だった?


いつだって

誰かが来るのを待っているかのような

そんな目を していなかった?


いつまでも
待ち人は来なくて
想い人が来なくて


遠くを見ているような
そんな目を してはいなかった?


あたしは 夢でも
待っている人は来てくれないんだ。

きっと 記憶が消え始めてるのかもしれない。

だから。
どうか。

夢で またあたしに逢ったなら

繋いだその手を 離さないで

何処にも行かないように

しっかり 繋いでいてあげて

何処にいたって

「あたし」は

いつ消えてしまうか判らない
そんな存在な気がするから


キミが 夢の中で
あたしを呼んでくれているなら

あたしは まだ生きていけるんだ



今夜も 誰かの 夢の中に


どうか。
どうか。



その繋いだ手を 離さないでいて。


***


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