衛澤のどーでもよさげ。
2004年08月19日(木) 愉しみにしても大丈夫?

運よく新聞を読む機会に恵まれて、今日のラ・テ欄(TVのタイムテーブル)を見ることができた。おお、「ブラックジャック」の再放送がある! 確か本放送を見逃したやつ。ちょっとアタマを切り替えなくてはいけない状況にもあるし、時間を割いて見ることにした。

エピソードは原作(秋田書店チャンピオンコミックス)第10巻収録第94話「U-18は知っていた」。もう30年近くも以前に描かれたものだけれど、少しのアレンジを加えるだけで充分に見応えのあるものに仕上がっている。それは確かに制作会社の仕事の妙ではあるけれど、原作がどれだけ秀れたものであるかも如実に表れている部分でもある。

制作はよみうりテレビと手塚プロダクション。監督は映像作家であり手塚治虫先生の御子息でもある手塚眞さん。キャラクタデザインはOVA版とは変えて原作に近く神村幸子さんが起こしている。
これは個人的な意見だけれど、OVA版の劇画調キャラクタよりもぼくはTV版の原作に近いデザインの方がより活きているように思う。原作のキャラクタは「漫画的」に過ぎてアニメーションには向かないプロポーションだけれど、そこをもう少し加減してデザインすればよいのに、とも思った。忠実過ぎるのも考えものだということだ。

要になるのは「U-18」の扱い方。1970年代に描かれた原作が予感させる「未来」と2000年代のいま見せなければならない「未来」は、やはり違う。その辺りは上手にアレンジしていたけれど、その部分よりもぼくはブラックジャック先生の自宅(岬の家)の内部のアレンジの仕方に感心した。

たとえば、電話。原作では黒電話のところをOVA版はアンティーク風の電話機にしていたけれど、TV版ではシンプルなFAX機能付(留守番録音機能も付いている)電話になっていて、携帯電話に留守番録音が転送される仕組みになっていた。ピノコがその携帯電話を持っていて、そのまま病院に入ってしまってブラックジャック先生に「病院では電源を切るように」と注意される場面が追加されるなど、巧くモラルを盛り込んでいる。おもしろい。

「U-18」もおもしろかったのだけれど、合間に番組宣伝が入っていたのにちょっと驚いた。
10月11日(月)1900時から「ブラックジャック」がレギュラー放映されるという。つまり、この再放送はまるごとそれの広報だった訳だ。
連載開始から30年。その旧い作品がいま新番組として放送されるということは、「ブラックジャック」は作品としてまったく色褪せてはいないということだ。
手塚作品のうち、ぼくが最も好きな「ブラックジャック」。アニメーション制作を大切に丁寧に行なう(フ○テレビとは大変な違い)よみうりテレビ制作(しかもプロデューサーは諏訪道彦さん)ということで、「U-18」の仕上がり具合いも考え合わせて、期待してもよいのかな?

さて、この「U-18」のOP曲は松本孝弘親方の手になる「Theme of B.J.」(書き下ろし)、ED曲にはB'zのアルバム「BIG MACHINE」から「ROOTS」が使われていた。どちらも作品にぴったりで声を上げてしまうほど素敵だったのだけれど、レギュラー放映ではどうなるのだろう? 「Theme of B.J.」は泣きそうになるほど恰好よくて、ずっと使ってほしいと思ったし、サウンドトラック盤が発売されたらきっと入手するとも思った。スポンサーとの兼ね合いなどもあるのだろうけれど、このまま使ってほしいと思った。
ED映像に手塚治虫先生の原画(静止画)を使用していたのもそれはそれでよかったと僕は思う。「ROOTS」のせつなさと少しばかり不釣り合いかな、と感じなくはなかったけれど。


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