2004年08月21日(土) フクザツ。
昨日の話ですが。
整形医に行ったときのこと。
一ト通りの診療が終わって受付で診察券と処方された薬を受け取る際に、ぼくが名乗るより先に受付のお姉さんが「衛澤さんですね」と薬袋と診察券を差し出してくれた。
「衛澤さん、憶えてますよ。私、N美装でアルバイトしてました」
N美装と言えば、ぼくが某テーマパークでまだ異性として働いていた頃に属していた会社だ。
あの頃のぼくは髪ももっと長かったし眼鏡も掛けていなかったし髭も生えていなかった上にいまほど肥ってもいなかった。しかも、ぼくの診察券はN美装で働いていたときとは違う性別が記載されていて、名前の読みも変わっている。
それなのに、一発で「同一人物だ」と見抜かれてしまった訳だ。
「ああ、Y瀬さんか。あの頃よりきれいになってるから判らなかったよ」
御世辞でなくぼくはそう言った。ぼくはぼくの事情について何も話さなかったし、Y瀬さんも何も訊ねてはこなかった。
それでもぎくしゃくしたところはお互いになく、ぼくは「暫くはこの病院の御世話になるから、よろしく」と言って、忙しそうな受付を離れた。
10年近く以前の彼女はまだ少しあかぬけない女子大生アルバイトで、ぼくは現場の女性チームの主任だった。いま彼女はきれいなお姉さんになっていて、ぼくはずんぐりしたオヤジになっている。
それでも彼女は同僚だったときと同じように接してくれた。それはうれしいことではあるけれど、ぼくはちょっと複雑な気分だった。どのように、と問われたら説明はしづらいのだけれど。