流天日記
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家に帰ると、居間でおとうとが ぐずぐずと泣いている。 わけを尋ねると 「黒いおばけがやってきて、居間の壁紙をはがして お母さんをつれて行ってしまった」 というのである。 見ると、壁紙の一部がべろりと剥がれ落ちており 内側から様々な色のえのぐが滴っている。 3つ年上の姉は、壁をじっと睨みつけた後で 「悲しいけれど、お母さんはもう帰ってこないわ。 私たちだけで、ちゃんと生活していきましょう」 などと、思いつめたように言うのである。 (完)
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