「硝子の月」
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2001年09月27日(木) <旅立ち> 瀬生曲

「じゃあね、おばあちゃん」
 立ちあがりながら勝気な笑みを浮かべて。しかしそれがふと曇る。
「もう……会えないのかな」
 老婆は初めて顔を上げる。
運命さだめならな」
「そっか」
 少女の顔に笑みが戻る。
 ――運命さだめなら、会える。
「じゃあ、またね」
 テントを出て日の光の下へ。高く結わえた赤い髪が揺れた。


紗月 護 |MAILHomePage

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