「じゃあね、おばあちゃん」 立ちあがりながら勝気な笑みを浮かべて。しかしそれがふと曇る。「もう……会えないのかな」 老婆は初めて顔を上げる。「運命(さだめ)ならな」「そっか」 少女の顔に笑みが戻る。 ――運命(さだめ)なら、会える。「じゃあ、またね」 テントを出て日の光の下へ。高く結わえた赤い髪が揺れた。