「硝子の月」
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2001年10月26日(金) <月下> 瀬生曲

「アニス?」
 夜中にティオは親友の名を呼んだ。
 窓辺にルリハヤブサのシルエットが浮かんでいる。その輪郭は月光に縁取られ、陽光の下で見るよりも不思議と青味が増して見えた。
「どうした?」
 向かいのベッドから青年の声がした。二部屋も宿を取る余裕は無いので、当然同じ部屋にいるのである。
「アニス?」
 彼の問いには応えずに、少年はもう一度親友の名を呼ぶ。
 蒼い鳥は眼差しを少年に向ける。
   ピィ
 短い鳴き声。


紗月 護 |MAILHomePage

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