「アニス?」 夜中にティオは親友の名を呼んだ。 窓辺にルリハヤブサのシルエットが浮かんでいる。その輪郭は月光に縁取られ、陽光の下で見るよりも不思議と青味が増して見えた。「どうした?」 向かいのベッドから青年の声がした。二部屋も宿を取る余裕は無いので、当然同じ部屋にいるのである。「アニス?」 彼の問いには応えずに、少年はもう一度親友の名を呼ぶ。 蒼い鳥は眼差しを少年に向ける。 ピィ 短い鳴き声。