「硝子の月」
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2001年10月30日(火) <月下> 瀬生曲

「どうした?」
 青年の声にはっと我に返る。
「別に。アニス」
 彼からも月からもふいと顔を背けて、窓のほうに腕を差し出す。
 すぐに羽音がして、いつもの重みが腕に加わる。
「『別に』って様子か、それが」
「うるせぇな」
 アニスをベッドの枕元に止まらせて、自分は布団に潜り込む。
 「やれやれ」と肩をすくめたような気配がして、青年も自分のベッドに戻った。
「……なぁ」
 少年は静かに呟く。
「『硝子の月』を手に入れたら、どんなことが出来んだろうな」


紗月 護 |MAILHomePage

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