「硝子の月」
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2001年11月09日(金) <交差> 瀬生曲

「で、どこに行くんだよ」
 翌朝、しっかりと朝食を口に運ぶ少年の様子はふてぶてしいほどで、昨夜の萎れた様子など微塵もなかった。そのことに青年は安堵し、同時に小憎らしくも思う。
(まぁいいか。べそべそしたガキを連れて歩きたかねぇからな)
「聞いてんのか? 年寄りは耳が遠いからな」
   ピィ
「お前等な……」
 無愛想な少年と妙に嬉しそうな鳥に怒気を覚える。
「ったく、こっちは心配してやってるってのによ」
 がしがしと頭を掻きながら言った途端にティオが赤くなる。
「ん?」
 一瞬目を丸くした青年は、それからにたぁっと笑った。
「何だよ!」
 きつく睨まれても彼は笑うのをやめない。
「お前もしかして、照れてんのか」
「誰が!」


紗月 護 |MAILHomePage

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