「硝子の月」
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「で、どこに行くんだよ」 翌朝、しっかりと朝食を口に運ぶ少年の様子はふてぶてしいほどで、昨夜の萎れた様子など微塵もなかった。そのことに青年は安堵し、同時に小憎らしくも思う。 (まぁいいか。べそべそしたガキを連れて歩きたかねぇからな) 「聞いてんのか? 年寄りは耳が遠いからな」 ピィ 「お前等な……」 無愛想な少年と妙に嬉しそうな鳥に怒気を覚える。 「ったく、こっちは心配してやってるってのによ」 がしがしと頭を掻きながら言った途端にティオが赤くなる。 「ん?」 一瞬目を丸くした青年は、それからにたぁっと笑った。 「何だよ!」 きつく睨まれても彼は笑うのをやめない。 「お前もしかして、照れてんのか」 「誰が!」
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