「硝子の月」
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「お待たせ致しました皆様! もちろんこのまま僕が登場しないなんてあり得ないと思っていらしたでしょうがそのっとーり!」 「誰に威張ってんだか知らないけどそこどいてくれる?」 「はぅあっ!」 天に拳を突き出した青年の背中に、言葉と同時かそれより早いくらいのタイミングで容赦なく前蹴りが入った。 言うまでもなくシオンとルウファである。 「ああ、会いたかったよルウファー!」 「邪魔」 げしっ 高々と上げられた少女の足が、見事にシオンの顔面を踏みつけた。 ちなみに彼女の手には新鮮な野菜がいっぱい入った籠が抱えられていたりする。場所はアンジュの屋敷の裏庭。何故か勝手口の石段の上で叫んでいる青年は非常に邪魔なのである。出来れば無視したかったところだが、ここを通らないと台所まで遠回りになる。
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