「願い事は決まったのか」「もちろん。ずっと決まっている」 アルバートは微笑する。「この地に俺の国を――平穏な俺の国を」 『硝子の月』――それを手にしたものは世界を手にするという、ありがちといえばありがちな、モノ――それに願われるのはあまりにも慎ましやかない願い。 『硝子の月』に叶えられた約束の王国。 故に『第一王国』。「『硝子の月』はアルティアと共にある」 アルバートが屈託無く笑った。