「硝子の月」
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「もちろん」 ルウファは微笑する。ひどく大人びた表情で。 「だから一緒にいるのよ。これがあたしの運命だから。今のところ蹴飛ばす気はないわ」 いつものように謎めいた言葉。 「お前の知っている『運命』って何だ?」 「運命は運命よ」 押せば引く。まるで風に吹かれる柳のように。 「でもそうね、差し当たっての運命くらい教えてあげてもいいかしら」 少女は赤い瞳の一方をいたずらっぽく瞑ってみせる。 「貴方はこれからあたしと建国祭に行くのよ」 「真面目に答えろ」 「真面目よ」 赤い双眸が紫紺の双眸をしっかりと捕らえた。 「この建国祭の中であたしと一緒に、貴方は貴方のことを知る」
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