「硝子の月」
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2002年11月08日(金) <建国祭> 瀬生曲

「もちろん」
 ルウファは微笑する。ひどく大人びた表情で。
「だから一緒にいるのよ。これがあたしの運命さだめだから。今のところ蹴飛ばす気はないわ」
 いつものように謎めいた言葉。
「お前の知っている『運命』って何だ?」
「運命は運命よ」
 押せば引く。まるで風に吹かれる柳のように。
「でもそうね、差し当たっての運命くらい教えてあげてもいいかしら」
 少女は赤い瞳の一方をいたずらっぽく瞑ってみせる。
「貴方はこれからあたしと建国祭に行くのよ」
「真面目に答えろ」
「真面目よ」
 赤い双眸が紫紺の双眸をしっかりと捕らえた。
「この建国祭の中であたしと一緒に、貴方は貴方のことを知る」


紗月 護 |MAILHomePage

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