宮殿の奥まった所。此処までは外の歓声もほんの僅かしか伝わらない。 (――あんな女は嫌い) 祭り用の豪奢な衣装に着飾った、白い少女は思う。 (――何も、解らないくせに) 全てを見通していると思い込んでいる「赤き運命」。自分こそが、硝子の月の側にいると、運命を手中に収めていると勘違いしている女。 私こそが紡ぎ手であるというのに。 少女は、真紅の瞳を正面に据えて呟いた。 「――死んでしまえ」 …今度こそ。