「硝子の月」
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2002年12月02日(月) <建国祭>立氏 楓 

宮殿の奥まった所。此処までは外の歓声もほんの僅かしか伝わらない。
 (――あんな女は嫌い)
 祭り用の豪奢な衣装に着飾った、白い少女は思う。
 (――何も、解らないくせに)
 全てを見通していると思い込んでいる「赤き運命」。自分こそが、
硝子の月の側にいると、運命を手中に収めていると勘違いしている女。
 私こそが紡ぎ手であるというのに。
 少女は、真紅の瞳を正面に据えて呟いた。
 「――死んでしまえ」
 …今度こそ。


紗月 護 |MAILHomePage

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