「硝子の月」
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「というわけで僕の愛しい仔猫ちゃんはどこかな? キリキリ答えてくれたまえ」 「お前のいない所だろ?」 わかりきったことを投げやりに答えながら、ティオは心底興味なさげにアニスの首元を撫でた。アニスは甘えるように目を閉じて、うっとりとその指先を受け入れている。 「僕のいない所……はっ! そうかこの僕に見つけ出しておくれと? これが俗に言う『捕まえてごらんなさいウフフ』ってものかそうなんだねルウファ!」 「なーアニス、今日は久しぶりに一緒に散歩でもするかー?」 「ピィ」 「よーしわかったよルウファ! すぐにでも君を見つけ出して『つかまえたぞコイツ☆』と額をつんと」 ごっ! 話に熱中していたシオンの額を、何の気なしに開けられたドアがまともに直撃した。
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