「硝子の月」
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2004年06月18日(金) <災いの種> 瀬生曲

「大丈夫ですか?」
「もちろんだとも。これも愛の試練だからね。というわけで、ルウファはどこかな?」
「さあ……私も朝食の時にお会いしたきりで……」
 アンジュは表情を曇らせる。
「何、どうということもない。何故なら僕は僕自身の愛の力で彼女を捜し出すからだ。待っていておくれ僕の仔猫ちゃん」
 本人とアンジュを除くその場の全員が「じゃあ最初から人に訊くなよ」というツッコミを心の中で入れる中、青年は足取りも軽く外へ飛び出していった。
「そのうち馬車にでも轢かれそうだな」
「世界が少しは静かになるぞ」
 カサネの感想に、ティオはそう応えた。


紗月 護 |MAILHomePage

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