「硝子の月」
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2004年09月05日(日) <災いの種> 瀬生曲

「そう、なのか?」
 いつも自信たっぷりで、自らを「運命を知る者」と言っていて、なのに今そんなことを言う紅い瞳の少女――けれどそれもまた真実なのだと、答えを聞く前から知っている気がする。
「そうよ。運命って、案外移り気なものだし」
 少年が少しだけ逸らした視線の先、明るい午後の日差しを受ける彼女の髪は紅く輝く。
「私ね、運命を知る者と呼ばれているし自分でも名乗るけど――」
 続いた言葉に、ティオは思わず彼女の瞳に視線を戻した。

「『災いの子』とも呼ばれていたのよ」


紗月 護 |MAILHomePage

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