「知ってるか?」 酒気を帯びた上機嫌な声で、帰ってきたばかりの大男は言う。「俺達、『輝石の英雄(ジェム・オブ・ヒーローズ)』って呼ばれてるんだってよ」 寝る時ですら外さないという重厚な鎧を揺すり、彼は快活に笑う。物々しい装備に似合わぬ優しさで黒瑪瑙(ブラック・オニキス)の瞳が細められる。「知ってる。結構気分いいよ」 細身の青年が細める瞳は黄玉(トパーズ)。「あたしも」 同意する少女の瞳は鮮やかな紅玉(ルビー)で。「地元じゃこの眼も、嫌われてたから」