2001年12月02日(日) |
典型・ひとりひとり型社員旅行 |
なにもこんな忙しいときに……と思っていたのだが、金曜・土曜の一泊二日的社員旅行があり、千葉県は勝浦まで行ってきた。 ゴルフ組、釣り組と分かれて出発の予定だったが、前日に『波が高くて釣りになんねいよう』と釣り場のおじさんから連絡があったらしく金曜早朝からの釣りは急きょ中止となった。俺はあまり気乗りのしない釣り組だったので、これ幸いとその午前中は2、3の仕事を済ませ、午後からゆっくりと高速道路を走り、勝浦へ向かった。 まったくもって典型的なスタイル。それぞれがチェックインしたあと、軽く温泉につかり、「さてではまあそろそろ……」と宴会場にそぞろ集まってゆく。ホテルの浴衣姿のひとりひとりの前にはやはりひとりひとりの小さな卓があって、固形燃料で温める一人鍋を筆頭に、お造り、焼き物、小鉢料理などがひとりひとりに割り当てられているという“ひとりひとり型”の宴会スタイルである。 部長サマの今年もあとわずかですが気を抜かずに頑張りましょう的挨拶の後、ぬるめのビールで乾杯。しばしの歓談から部長サマの突然の指名から始まる問答無用カラオケ大会を経て、課対抗演芸大会でひとしきり盛り上がり、一本締めで宴会はお開き。こんなサラリーマンみたいな宴会は実に久しぶりであった。 宴会の後、酔っ払った先輩社員の強引な誘いを断ることが出来ず、俺は同僚と共に場末のフィリピンパブに連れて行かれた。タクシーで片道5000円。正直、ばかだ。そのヨッパライ先輩社員が「財布なんか持って行かなくていい」とトガリ眼で言うので、その時の俺は正直に1円の金も持たずについて行ったのだが、ばかばかしいのでタクシー代と店の払い、何とか踏み倒そうと思っている。 高い参加費を払っているので、俺なりにモトを取るために大浴場には3回入った。チェックイン直後と宴会の後、そして朝飯の後。ホテルは勝浦海岸からすぐのところにあって、ホテルの最上階にある大浴場からは太平洋が真っ平に望めてたいへん気分が良い。両日とも雲ひとつない快晴という天気に恵まれたので、大きな湯船につかりながら遠く太平洋に浮かぶ漁船などをぼんやり眺めている、というのは、日々の(それこそ本格的な)忙しさを忘れさせてくれた。温泉にでも行きたいねえ、とツマと話していた時期でもあったので、この大浴場だけは満喫できた。
翌日は早めにチェックアウトし、近くの朝市を覗いてみた。 聞けば勝浦漁港の朝市はそこそこ有名なものらしい。ホテルを出て、5分も歩かないところにちいさな商店街があって、その細い路地でこじんまりと朝市は開かれていた。ゴザに座ったおばあちゃんの前には自家製白菜の漬物100円、とか、さっき取ってきたばかりの野菜類がずらり並べてある。別のところでは大きな金目鯛が1700円で売られている。部長サマ曰く、百貨店の地下食料品売り場で買ったら3000円はする、とのこと。俺はツマの好きな“イカの塩辛”を土産に買って帰った。 年末の追い込みを迎えようというこの時期に、のんびりとした土曜の朝だった。俺はひとり車に乗り込み、晴天の中を佐野元春のCDを聴きながら家路についた。
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