のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2004年02月12日(木) 連鎖反応

 珍しく、今日は朝イチからかなりバタついて、あわただしい一日の始まりであった。電話がじゃんじゃん鳴り響き、あの書類はどこだのあの資料をいつまでにだの、その殆どのベクトルがこちら方面に向かっているので、俺は狭い事務所を駆けずり回ることになる。
 そう、今、俺が勤務している事務所はかなり狭い。そんな狭い事務所に総勢12人もが詰めているのだから、職場環境としてはあまり芳しくない。それぞれ個人の資料もどんどん増えていくのだが、その事務方としての取りまとめを仰せ付かっている俺は、この事務所に来て2ヵ月半の間に膨大な量の資料を管理しなければならなくなっている。なぜそんなことになっているか、という話をし出すとかなり愚痴めいた方向へ向かってしまうのでココでは控えることにしたい。
 手狭な事務所で、俺は足元に二つのボックスファイルを置いている。ひとつはすぐにでも取り出したい資料をクリアファイルに入れて整理してあり、もうひとつのほうには一通りの文房具が放り込んである。
 上司から「──あの、××の契約書の控えを見せてくれ」と言われ、俺はすぐに足元のボックスファイルに手を伸ばした。

「  痛っ  」

 勢いあまった、という感じか。
 伸ばした指がそのまま鋭利なクリアファイルのエッジのところを勢いよくすべり、右手の中指の先端を3ミリほど切ってしまったのである。
 自慢ではないか、俺は“血”にめっぽう弱い。特に、「手」の怪我にはどうも敏感のようだ。
 包丁で指をかなり深く傷つけた血だらけの母の指を止血しようとして、その流血の多さに一瞬貧血を起こしそうになったことがある。健康診断の採血のときは、俺の視線は当然明後日の方向にある。テレビドラマの手首を切る自殺シーンなどまず正視できない。本気で「やめなさい」と止めたくなるのは、そいつの生死の問題ではない。自殺するなら他のチャンネルにしてくれ、と言いたいくらいだ。
 ほんのわずかな指先の傷だが、これが気になって気になって仕方がない。握力も徐々に低下し、右手の激細ペンが書く文字はもはや“象形文字の筆記体”のようになっている。
 不幸な事故は相次ぐもので、夕方、営業車で外出しようとした同僚が事務所のすぐ前の道路でバイクとの接触事故を起こしてしまった。相手側は大きな怪我ではなかったようだが、念のために呼んだ救急車でひとまず運ばれていった。
 あれこれ、身の回りには危険がいっぱいだ。


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