ツマが鳥取を訪れた。 飛行機で往復ン万円もするのを、切迫するのづ家の家計においてはそう易々と来られるわけがないわけで、そこはまあ、オットの帰省費用的なアレをこうナニすることで今回のツマ訪鳥と相成りました。 今、鳥取は“白イカ”“岩ガキ”が旬。ほら、やっぱり海産物は豊富です。 ツマの大好物のひとつがイカでありまして、旅費についてはまあなんとかなるから、折角なのでオットがこちらにいるうちに単身赴任で奮闘しているオットを励ましに鳥取へ来たらどうだね、という誘いに、ツマは『どうやら今鳥取方面は白イカが美味しいらしいので、イカを食べに行きます』ときた。ちなみにのづ夫妻には“岩ガキ”について、ツマは恐らく永遠に岩ガキを口にすることはないだろうという忌まわしい思い出があるのだが今はそれを語るときではない。 ツマ、お昼すぎに到着。勢力を維持しながら北上する台風6号よ、しばらくじっとしてろよ、と念じつつ、そのまま漁港近くの海鮮料理店に直行、ゲキ旨海鮮丼およびサザエの刺身を食らう。1050円というお値打ち価格で獲れたて海鮮が山ほど乗っている。イクラもたっぷり。単純に旨かったす。 その後、神話で有名な白兎海岸を軽くドライブ。車ン中でお互いに『因幡の白兎』についての知識を出し合うが、どうもしっくりこない。あの神話をしっかり語れる人なんているのだろうか。 いよいよ、鳥取と言ったらここしかないですよ、ココを見逃したら他には何もありませんよ、と言う観光地・鳥取砂丘へ。 ここへは俺もこれまで何度か足を運んで、砂丘のてっぺんから日本海を望む、ということはしたことがあったが、さらに砂丘を下って海岸まで足を伸ばす、ということはしたことがなかった。 砂丘を登りつめて深い群青の日本海を眺め、気持ちいいねえ、などと暢気な事を言っていると、折からの突風でツマの帽子が飛ばされ、砂丘をころころと転がり落ちてゆく。呆然と帽子を見送るツマ。オットはそれを見なかったことにしたかったが実際はそうも行かず、夫婦力をあわせてその帽子を救出するため、恐る恐る砂丘を下っていった。 きっと、こういうことなのかもしれない。 砂丘のてっぺんから海岸へ向かう“下り”は“上り”と違って多くの人にまだまだ踏み固められていないのだろう。1、2メートル砂丘を下った辺りで、早くもずぶずぶと蟻地獄の如く両の足が砂に吸い込まれていくのだ。大袈裟でもなんでもない、事実です。のづ写日記を見たでしょう? 「助けてくれえ」 「助けてえ」 夫婦そろって悲鳴。ツマの帽子は風に舞いながら更に転がり落ちていく。酷いところになると足首と膝の中間くらいまで砂に飲み込まれてしまうのだから、いくら急斜面といえども思うように進むことが出来ない。 決定的だったのは、俺がスーツ姿だったことだ。つまり、革靴。ばかです。ツマには、 『鳥取砂丘をナメてはいけません。運動靴持参のこと』 などと事前にメールを送っておきながら、オノレはローファーを砂に飲み込まれ、遭難寸前であった。翌日の日本海新聞に『スーツ姿の白骨死体発見 鳥取砂丘』なんて記事が出るのを想像。 まあ、こんな食後の運動(……)があったせいで、夕食兼呑みはたいへん美味しくいただくことができました。ちょいと値が張ったけれど、生岩ガキが絶品だったので文句はありません。 明日はツマの最終目的である白イカの活造りをやっつける予定。楽しい休日です。
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