月と散歩   )   
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2002年05月22日(水) 『セブンスター』

人間、成せば成るものです(苦笑)。

―――

タンクの清掃、月曜日いっぱいかかって なんとか終了。
おお。出来ちゃいました(笑)。
『月曜日の昼まで』という期限はわずかにオーバーしましたが、許容範囲内。

しかし、『終了』と『完了』は微妙にニュアンスが違います。

今回は、なんとか『終了』、です。

―――

仕事をするうえで、
プロなら『期日』と『品質』の確保は絶対欠く事の出来ない要素だと思う。

もちろん、そのどちらもが完璧、というのが理想。

けど諸般の事情により、どうしてもちょっとずつ譲歩しなければ 円滑に仕事が進まないのが現実。
あくまで『譲歩』。『妥協』は負けです。

そう。妥協はいけませんよ。

―――

で、今回のタンク清掃。

ぶっちゃけ、妥協、です。はい。

上の人間は「この日までに仕上げろ」と言ってくる。
けど、『完璧』に仕事するにはとてもじゃないけど時間が足りない。
でも仕上げないと僕らはゴハンが食べられない。

どうするか。

仕上げますよ。そりゃ。
でも、完璧は期待しないでね。と。

僕なんかは、立場的にはまだまだ『若手』の『ぺーぺー』だ。
ましてや、他所からの応援者。
文句はあるけど、言っても始まらない。
言われた事を、忠実に行うだけ。

『見えない敵』に、僕は 負けました。

―――

清掃の合否は、専門の人が来てサンプリングを行う。

清掃した面をきれいな布で拭いて、それに付いたゴミを数える。
1�屬糧楼呂法■隠哀潺�ロン以上のゴミが、10個以下(!)でなければならない。

今日が、そのサンプリングの日。

結果。

ゴミの数、100〜200個。
当然、『否』です。

明日からまた、清掃のやりなおしです。

―――

…1年ほど前。

ロケットに10年 携わった先輩が、会社を辞めていった。
パン職人を目指すと言って。

僕も
たぶん今、そのときの先輩の気持ちと同じ場所に立っているんだと思う。

自分のやった仕事に、自分で責任を負う。
妥協は許さない。
結果がダメなら、痛い目を見るのは自分。

この会社も、本質は同じだろう。
けど、大きすぎて感覚が麻痺しているんだ。

…『職人』になりたい。

それは、小さいけれど 密度の高い世界。
そこを、僕も目指す。


≪本当の冒険をみたい/本当の自由をみたい/忘れてるフリはしない≫
≪…こころに本当でいたい/こころは本当でいたい…≫

―――

余談。

拭き清掃が終わった後、最終の確認を行う。
ここでまた、ブラックライトの登場。

拭き残した油分、汚れ。
取り損なったチリや埃を、この段階ですべて取るんだけど。

これが結構、残ってる。

人間が出入りするとどうしてもゴミが発生するわけで。
それらが、ブラックライトの光で、闇のなか きらめく。

夜空にまたたく星のようで綺麗…なんて思うけど、
それは、汚れているということなのです。

僕の仕事は、星空を闇夜に変えること。

やー。ロマンチストー(笑)。

…サンプリング、落ちたけど(苦笑)。

―――

≪闇ん中の光は、ホラ、つよい/また朝に散ばっていく様に≫



※本文中、≪≫内の歌詞は
【中村一義、『セブンスター』(東芝EMI)】より 引用しました。



2002年05月19日(日) 見えない敵


ひさしぶりに、仕事の話でも…。

―――

先週、夜勤でした。
夜は好きなんだけれど。

―――

いま、やってるのは
来年に打ち上がる予定の、H−�僑船蹈吋奪箸裡叡別椶稜確船織鵐�。
その、『清掃』です。

ロケットのメインエンジンは
液体水素(LH2)と液体酸素(LOX)を反応させて推進力を得る。

燃料タンクに それらの液体が充填されるわけだけど
タンクの中が汚れていると、あとあと大変なことになる。

…『液体窒素』ってのは映画とかでも出てくるから有名。
液体窒素に漬けたバナナで釘が打てちゃったり、
T−1000がバラバラに砕けちゃったり(笑)。
あの、液体窒素で −196℃。

液体酸素は−183℃。
液体水素に至っては、−253℃と、とってもクール。

そんな中に髪の毛1本でもあろうものなら
たちまち凍って『針』と化し、燃料の流れに乗ってバルブなんかを破壊してしまう。
また、液体酸素ってのが厄介で
油分と反応して、爆発性の強いゲル状物質になる。
そうなると、ちょっとの振動でも ボン!…と。

…なるらしいのです(幸い、まだそうなったトコを見たことないので)。


だから、タンクの中では チリひとつ、手の脂ひとつもあってはならないんです。

…で、『清掃』と。

―――

これがまた、大変で。

まず。
『ブラックライト』を使って、油分を探します。
最近、やんちゃな若者(年寄的表現…)のクルマなんかでよく見る
紫の妖しい光を放つ、アレです。
特殊なフィルターを通して、紫外線だけが照射されるんですが。

ただし、こっちは業務用。
そんじょそこらの坊っちゃんが付けてるのとは パワーが違います。
光源は水銀灯。
Tシャツ1枚くらいなら透かしちゃうくらいの光を放ちます。
美肌とか、言ってられないです(笑)。
一応、日焼けしない程度の波長の紫外線ですが。


…なぜそれで 油分が見つかるか は、訊かないでください(苦笑)。

とにかく。

それで照らすと、たちどころに手の跡やら、ひざをついた跡やらが浮かび上がってくるのです!
チリや埃も光ります。
なぜか。
気分は、鑑識。
やー。悪いコト出来ませんねー(誰に?)。

んで、それを見つけては拭き取っていくのですが
これが結構キツイ。
微かなその光を見逃さないよう、タンク内は真っ暗。
そんな中でのブラックライトの光は 目に来ます。
だんだん疲れて来るとモノが二重に見えてきます。

精神的にもよろしくない。
かがんでやってるので、腰も痛くなる。

この作業、丸2日間。

―――

それが終わったら、また、拭き取り。

今度は明るい中で。

タンクはアルミ合金です。
イメージとしては『巨大なアルミ缶』といった感じ。
厚さは、5mm程度。
でも、ただの板っ切れじゃあ、ない。
強度を増すために補強がされてます。
…ビリヤードの、球を並べるヤツ。三角形の。
アレが、直径4メートルのアルミ缶の中に、数千個、くっついてる。
そんな感じです。

その『三角形』。
アルミの削り出しです。外板と一体モノ。
アルミってのは、削り粉が とっても細かくなるらしいんです。
目に見えないくらいまで。

(注:知ったかぶり、80%)

その、目に見えない削り粉。
…と、酸化物、等々。
それが僕らの当面の敵です。

数千ある三角形。
それを一個一個、拭き取っていきます。

見た目、キレイなのに、拭けば付いてくるアルミの粉(その他諸々)。

一箇所を 二度三度拭かなきゃならないから、いっこうに進まない。
1日かけて、せいぜい2,3メートル四方。


…ふう。

―――

清掃期限、月曜の昼まで…。

昼・夜、2交代で4日間やって全体の4分の3…。
残り4分の1を、半日で…

…できるか〜〜ッ!!?

現場を知らない『上』のひとたちは、成せば成る と励まします。

―――

戦うべき相手は、『眼下』か、『頭上』か。


…自分自身か?


2002年05月14日(火) 『世界の果て』

中学の頃。
きっかけは忘れたけど、『宇宙』の話でアツく議論を交わしたことがあった。
…イヤ、そんな大した内容じゃないんだけど(苦笑)。

ふと、思い出した。

―――

物質を構成する最小単位、原子。

けど、さらに原子をつくるモノがあるはずだ。

クォーク?
幽子?

じゃ、それをつくるモノは?

…。

きっと、ずっと追ってくと
そこには『宇宙』があるんだ。
んで、
銀河があって、太陽系があって、地球があって…
で、顕微鏡 覗いて議論してる僕らがいて…。

―――

そんなんもアリなんじゃない?って話。


2002年05月11日(土) THE ONE


僕がいる。

―――

『僕』としての僕と、
『群れ』の中の一個体としての僕。

どちらも、僕。

―――

僕が『僕』でなければならないひとがいる。

僕が『群れ』の中のひとりであることを求める人たちがいる。

どちらも必要な事なんだろう。
けど、『僕』を求めてくれるひとたちがいるから、在り続けられる。

そう、思う。

―――

「…全身に何百の武器を仕込んでも
腹にくくった�牋賈椶料筬瓩砲� 敵(かな)わねェこともある…」
ゼフは云った(誰?)。

刃こぼれも多い槍だけど…
僕は、これでいく。

―――

「スペッシャルになるな」
とは、高校の恩師の口癖。

「憧れや名誉はいらない/華やかな夢も欲しくない
生き続けることの事の意味/それだけを待ち望んでいたい」
と、達郎さんは唄う。

昔は、そんなのは疲れたオトナの言い訳だ、と思ってた。

けど、今。

その言葉たちの云いたいことが、わかるような歳になった。


…本当に大切なものはなにか…。


―――

そして、僕はここにいる。




≪抜粋≫

尾田 栄一郎『ONE PIECE〜巻 八』

山下 達郎 『蒼氓(そうぼう)』 より


2002年05月09日(木) 紙、一重。

ちょっと前。
仲間うちで「アナログなホームページ制作集団をつくろう」
という話が持ち上がって。

「アナログな」というのは
当時、まだ僕らのパソコン普及率が低かったので
データや原稿のやりとりは 郵送や電話で行おう、ということで。

あえて、デジタルが一般的になりつつある世の中にあって
それは ささやかな抵抗だったのかもしれません。

―――

『アナログ』が大好きです。

本来のアナログの意味合いからは少し外れてるのかもしれないけど。

デジタルは、なんだか得体がしれないので(苦笑)。

電話は『コード付き』でないと落ち着きません。
携帯電話がキライでした。
手紙もよく書きました。

…ちょっと前の、話。

―――

ゴールデンウィーク、地元に帰った際
友人宅で懐かしい手紙を発見しました。

送り主は、僕。

まだ、スレてなかった頃に書いたもの。

もうすっかり内容も、書いたことすら忘れた手紙。

でも、『忘れてたもの』を思い出しました。

―――

いまの僕。

ケータイがないと連絡が取れないひとたちがいます。
CDを借りてきて、MDへデジタルにダビングして(ないしょ)。
立ち上がりかけたホームページも、僕の怠慢で『なあなあ』になってしまいました。
友人たちともインターネットでのやりとりが主になりつつあって…。

それはそれでいいんでしょう(怠慢はよくない)。
便利だし。

…デジタルは、なんとなく薄っぺらな感じがして。

それは、それを使う僕が大切なものを忘れてしまっていたから。

―――

いまさらかもしれないけど
『忘れていたあの頃』を、取り戻そう。

―――

…まだ、間に合うかなぁ…


2002年05月07日(火) over drive


以下、今日 職場で聞いた話。

お客さん(宇宙開発事業団)が 他のいくつかの機関とくっついて 民営化される、とのこと。
それとは関係ないかもしれないけど、
今後予定されていたH��-Aロケットを使った衛星の打ち上げが、かなりの数 キャンセルされるって。
一応、5年先までは仕事(打ち上げ)があるようだけど、そこから先はどうなることやら…とか。
海外の大手衛星メーカーが他の(経費の)安いロケットに乗り換えたためらしい。

それに伴い、うちらロケットチームも解散の危機か?!なんてトコまで話は広がり。

度重なる失敗が影響しているのは あきらか。

うちら、ロケットメーカーだけの責任じゃないんだけど、お客さんにしてみれば そんなことは関係ない。


一度失った『信用』を回復させるのはたいへんです。
なにごとも。

ふー。

―――

…にしても、なぜいつもマスコミのほうが現場の人間よりも情報が早いのか。

ちょっと考えれば、簡単なこと。

現場の、余計な不安を煽りたくないから?
それもあるでしょう。

けど。

『ほんとうのメーカー』は別にいるってこと。

話はいつも僕らの知らないところで進んでいて
耳に入る頃には、僕らでは もう どうしようもなくなっている。


…わかってはいても、認めたくないことって ありますよね。

―――

友人に、クルマの運転が苦手なヤツがいる。


…わかる気がする。

免許をとりたての頃は、僕もそうだった。

『見たいもの』が、たくさんある。
『知りたい事』が、溢れてる。
世界は楽しいことだらけだ。

それが、気になってしかたない。
全部を知りたい。
『すべて』の 相手をしたい。

すると、肝心の運転のほうがおろそかになる。
『スピード』が速くなると、視界は狭くなる。

けど、せめて運転はしっかりしないとならない。

…だから、対応しきれない『なにか』を切り捨てる。


僕は、いつのまにか運転が上手くなっていた。

いったい、どれだけのことを切り捨ててきたんだろう。

―――

僕には、自転車がちょうどいいと思う。

ホントは ゆっくりと歩くくらいのスピードがいいんだけど。
疲れるし(笑)。
人間は、贅沢です。

風を感じながら、
たまには ふらふらと寄り道もいいじゃない。

ゆっくり行こう。
道が無ければ、つくればいいさ。

そう。例えば、ネコの歩みのように…。


2002年05月05日(日) Enter:


戻ってきました。名古屋。
『帰ってきました』じゃないのが微妙なトコ(苦笑)。

―――

兄貴も、帰郷。
ひさしぶりに家族が揃う。 今年はひとり増えて。

2月に生まれた、兄貴の子。
『芽依(めい)』。
僕が
「そうかー、姪(めい)のメイかー…」
というと、
「まだいいさ。私なんか『孫のメイ』になるんだよ。どっちさ!ってねー(笑)」
と母。

けだし、名言(苦笑)。

―――

そんな我が家で寝たのは、5連休のうち 二晩だけ。
あとは、友人宅でザコ寝。
そりゃあ、風邪も引きますわ。

―――

1歳の頃からの、幼馴染み。
それと
高校から、かれこれ10年近い付き合いになる 友人たち。

もう、『友達』とかいう枠ではくくれないような。

とても、居心地の良い空気がそこにはあり。


…僕には 帰る場所がある。

―――

今回の帰郷、その目的のひとつに
『そろそろ僕らでバンドを組んでみよう』
ってのがあった。

世の中にストリートな人達が流行る、ちょっと前。
僕らがギターを握ったのは そんな頃。
流行に乗るでもなく、誰かに媚びるでもなく
それぞれのペースで好き勝手にやっていた。

…それがいけなかったのか…(苦笑)。

それぞれ、好きなアーティストが 違う。
目指すものが、違う。
カッコよく言うと、『音楽性』が違う(笑)。

結局、みんな揃ってみても演りたい曲が 決まらない。
楽器も満足に揃わない。
ドラムのかわりに、100円ショップで買ってきたバケツが並んで。


…来年3月に、仲間のひとりが結婚します。
みんな、それまでにはせめて1曲…ね(笑)。

―――

気持ちを伝えるのは、いつも難しい。

言葉でも、文字にしても伝えきれないことがある。
…わかっちゃあ、いるんだけどね。
仕方ないよね。

…仕方ない、のか?

―――

懐かしい故郷の桜

二度見る春に
淡い期待と、下心

隠しても隠しきれるわけ無く

だからどうしたと
開き直って、振り返る

…そんなところに、いるわけもなく

―――

『その声』で、日常に引き戻される。


2002年05月02日(木) Return:


はじめの一歩なんて、
気付かないうちに 踏み出してる。

みんな、そんなもんかも。



…それで、いいんじゃないかな?


―――

帰ってきました。
北海道。

寒いです。
ニュースで『花冷え』だ、って言ってた。

こっちはいま、桜の季節。


でも…、『あったかい』です。

―――

ただいま。


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