雑感
DiaryINDEX|past|will
10月14日付の日経に高橋源一郎の「家」についてのエッセイを 読んだ。 物心ついたときから引越しを余儀なくされた生活環境だったと述べて いる。高橋の大学以降の引越し先がおもしろい。鎌倉の奥深くにある 現住所の静かな閑居に落ち着くまでに16回も移動している。 引越し先のリストに以下の名前がたたみかけるようにずらりと並ぶ: 大井警察署(留置所)、杉並警察署(留置所)、練馬の少年鑑別所、 杉並警察署(留置所)、東京拘置所・・・若い時はずいぶん辛酸を なめた人なんだ。
高橋は言う。「笑われるかもしれないが、私の望みは一つの家にずっと 住むことだった。夜になって、あるいは朝になって、突然両親から家を 出なければならないと告げられることのない家に住みたい。そう思って いた。」
私もパートナーと知り合ってから、8回も引越しをした。私の願いも 静かな心地よい住まいにずっとずっと長く住むことである。 今いるところは、天井の高い昔風のアパート。散歩先にもジョギング先 にも事欠かないし、職場にも、買い物にも、オペラ座にも近い。
そろそろ荷造りの時期が近づいているらしい。このエッセイを読んで 私もたった一つの家に住もうと思えば住めた人生があったのかもしれ ないと気が弱くなった。
|