雑感
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2001年11月10日(土) 異性・同性

江國香織の「きらきら光る」と村上春樹の「スプートニクの恋人」と
千葉敦子の「寄り添っては生きられない」を読んでいた。

「寄り添っては生きられない」は80年代初頭に書かれたもので、当時の
ベストセラー「気配りのすすめ」(鈴木健二著)の女性観を痛烈に批判して
いる。当時の「男は外、女は家」という価値観が大切にされた時代で、この
本は相当なパッシングにあっただろうなと思う。
今から読めば、しごく当然とされることー妻も夫も平等のパートナー、
女が仕事をするのはあたりまえーが当然ではなかった時代があったの
を思い出すと隔世の感がする。故人千葉敦子は勇気のある人だった。

90年代初めに登場した「きらきら光る」はアル中の妻と
ホモの夫とその恋人との関係をめぐるエピソードが、しごく当たり前の
状況設定みたいに、さらりと語られていておもしろい。10年前だと
カップルの組み合わせに新鮮な驚きがあったかもしれない。
2年前に出版された「スプートニクの恋人」も三角関係だけど、こちらは
レズビアンを扱っている。こちらも読んでいて、状況設定に違和感を感じ
ないのは、世の中がいろんな組み合わせを少しづつ受容しているからかしら。

欧州はオランダとドイツで同性同士の婚姻が法的に認められた。オランダは
何事にもリベラルな国なので、何でも取り入れるのが早い。ドイツはカソリ
ックとプロテスタントに州ごとに偏りがあるので北の地域はリベラルな傾向
がある。先だっても州政府の大物政治家がゲイであることを告白して話題を
読んだ。
オーストリアはカソリックなので、教会がどうしても同性同士の婚姻を
うんとは言わない。同性愛者を病気とみなしている。
夏になると欧州各地でラブパレードが実施されるけれど、まだまだ
同性愛者が大手をふって歩ける世界ではないのだろう。
自宅の周りには、レインボーマークの旗やカーテンをあしらった、彼ら
専用のバーやカフェがある。その数は毎年増えている。

時代がすすむにつれて人々の意識は確実に変化している。家庭や職場におけ
る男女の役割も平等化しつつあるし、同性愛者に対しての偏見も少しづつ
取り除かれていくだろう。
近い将来、パートナー選びの範囲がぐっと広がるかもしれない。


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