雑感
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2001年11月13日(火) 人質カノン

休暇中は走ることと読書で一日が過ぎていく。
長く本を読まなかったので、いっぱい本を読んでも、走ったあとの
水分補給するみたいに満腹になることがない。脳のインプットと
アウトプットのバランスを調整中。

宮部みゆきの「人質カノン」を読んだ。7つの短編にはどれも人間関係
につまづいた人々の弱い面が著者のやさしいまなざしを通して語られて
いる。
恋人に裏切られた人の殺意や自殺願望、ひきこもり、学校でのいじめ
に対して、頑張れ!立ち向かっていけ!など正論をふりかざさないと
ころがいい。弱りきった心から立ち直るには、自分の力しかないのは
当事者もよくわかっている。それぞれの主人公は、自分と同じような
しんどい立場の人たちとふとしたことで関わって、気にかけていくう
ちに、もう一度生きてみよう、人生の意味を探していこうとエネルギー
を得ていくところはとても共感できる。

著者は多作であるのに、作品の質がいつも高いところを維持しているの
はすごいなと思う。


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