雑感
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留学する心構えについて、まず目的をもてと一段高いところから意見 する人がいる。
若いうちに留学する人が、高い志をもつにこしたことはないけれど 20代くらいで、自分が何をしたいかなんてなかなか決められないと 思う。20代から30代というのは、自分が社会に仕事面でどんな貢献 ができるか探す時期ではないかしら。
イタリア文学の紹介にたずさわり、鋭い描写力のある随筆家の須賀敦子 のローマ留学は、あやしげな奨学金が見つかり、何となくだったし、 イタリアやローマについてのおびだたしい作品を書いている塩野七生も 最初のイタリア留学は遊学だっと聞く。須賀敦子と同時期にアメリカや 欧州を放浪した犬養道子も、大いなる好奇心から日本を飛び出した。
上の3名はすばらしい業績を残しているけれど、世間の耳目を集めるよう な活躍をせずとも、自分はいったいどんな人間か、世界の成り立ちなんか を知りたいと思って遊学するのはいいことだと思う。言葉を習い、他の国 の人々やその属する社会が自分とは違う風に考えていることを知るのは 自分の頭をやわらかくするには、その後の人生でプラスになる。 ただ気を付けるのは、それぞれの外国の日本人社会にどっぷりはまら ないようにすることだろう。一生つきあいがいのある友人が見つかった のなら、それもよいかも知れないけれど。
かくゆう、私も26歳で欧州に飛び出した。特に目的があったわけでな い。そのまま何となくこちらにとどまっている。留学することで、世界は 矛盾や違いにあふれていると肌で知るだけでも成果はあったと思うのだ。
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