雑感
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2001年12月10日(月) 近すぎて当惑する距離

空いてる電車などに乗りこむ人を観察していると、ある程度間隔を置いて
1メートルから1.5メートルくらい空けて座っていくのは大阪でも
ウィーンでも似たようなものである。きっと、心理学上では研究されて
いるのだと思うが、本能的に相手のパンチが飛んでこないぎりぎりの
距離を置いているのだろう。

観光客はさておき、ウィーンに住んでいる邦人同士でも、ある程度の
距離は置いていると思う。あからさまに声をかけて「日本人ですか?」
で会話を始めるのは珍しい。同国人は何となくわかるから。
ウィーンに住んでいる邦人はおよそ1000人から1500人くらいだと
大使館の発表した数に出ていた。(在留届けを出してない人も多数いるため)

今月から通い出したクラブでも、何人か邦人がいたが、挨拶しそびれて
しまった。「ハロー!」と言えばいいのか「こんにちは!」にしようか
迷ってるうちに向こうがあさっての方向を向いてしまったのだからしかた
ない。邦人のコミュニティが小さいため、一度話をしてしまうと、自己紹介
して、居住地域や職業などきれいに話してしまわないといけないかなと
いう気になる。事実を言わなければいずれわかることだし、それだけ
居住している社会が小さいのだ。
自己紹介をすると、社会のどの層に含まれるか、生活程度や、行き付けの
店、交友関係がガラス張りになってしまう。誰それとつきあいがあると
わかると、いい意味でも悪い意味でも噂の種を提供することになる。

邦人社会のコミュニティにどっぷりつかって幸せな人もいるが、私は
ちょっと困る。顔と名前が一致して、通りであったら挨拶しないといけ
ないし、つきあいづらい。以前、友達に食事に招待されて出かけたら
コミュニティの主のような奥さまがいらして、名前も知らないひとの
噂話を延々とされて閉口したことがあった。

外国に住んでいる邦人同士は、仲良くなればお互いの生活を見せても安心
できるくらいにオープンになれるが、一方で、仲違いが起きれば、噂話が
光と同じくらいの速度で広まることもある。そういうことも念頭にいれて、
とりあえず、距離を置いて互いを観察するというのが、邦人の生活の智恵
ではないだろうかと思うこのごろ。


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