雑感
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2002年01月03日(木) 心地よき宴

十数年来お世話になっている家族から夕食の招待があったので
喜んで出かけた。少し離れたところに住んでいるが、毎年一度は集うよう
に心がけている。
クラプフェンバウアー夫婦は3年ほど前から年金生活に入り、90歳に
なるおばあちゃんと3人暮らし。かなりの資産家なのに、生活ぶりは
質素で、でもけちというわけではなく、自然体での暮らすさまは見習う
べき点が多い。

夕餉も、サラダ2種とヴィーナー・シュニッツェルとデザートと普段の
食卓と変わりないが、話題が豊富で十分肴にして楽しめた。この家族と
話を始めると、長丁場になる。旅先でのこと、音楽のこと、日本の芸術
のこと、政治・経済と多岐にわたって本当に楽しい。常識的なウィーン人
の意見を忌憚なく披露してくれる。この家族の居間に座っていると、普段
の気を張っている生活から離れ、一種の温みのようなものをじかに感じる
ので、長居をしてしまうのだろう。

おばあちゃんは、年々弱っているように見うけられるので、またこの次
ねと念を押しても、次回会えるかどうかわからないなと思い、きつく
握手してきた。

帰り道、美しいお月さまを眺める。18夜か19夜くらいか。上側から
欠け始めていたが、射す光は強くて、零下の冬空をきりりとひきしめる。
空には満天の星。シェリーとワインとシャンパンを飲みすぎた頭には
心地よい冷たさだった。


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