雑感
DiaryINDEXpastwill


2002年01月04日(金) 1901年の風景

映画館に1901年当時のマリアヒルファー通りの写真が飾って
あった。この映画館のあたりから、リングへ向かって撮った風景写真。
白黒だけど、いまはお化粧直しされたシュティフト教会や数年前まで
あったヘルツマンスキー百貨店の名前が見える。

男はステッキに黒い山高帽、女性はひだのたっぷりある黒っぽいロング
スカートに提灯そでの白いブラウスに日傘、つばの広い帽子姿。
路面電車も旧式の一両編成が走っている。石畳の舗装。今は跡形もなく
消えてしまったが、1986年春、初めてウィーンに来たときの雰囲気、
建物の感じはそのまま残っている。

100年前も16年前と遜色なく、同じように買い物客で賑わっていた
のだなと写真の瞬間へ邂逅していくような感じがする。
でも写真の人々は今は誰一人生存していない。2,3歳のかわいらしい
幼女もこの世の人ではない。
この感じは、天井の高いカフェに座って新聞を読みながら、ちらりと
外、王宮を見たときもあった。過去と未来のメビウスの環の上を今と
いう時間がすべっているようだ。この環の上では、自分の中のどうにも
しかたない空洞のようなものは雲散霧消していく。

肝心の映画よりも、壁一面に飾られた1901年のウィーンの風景に
釘付けになった。


Aqu |MAIL

My追加